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タウム1

Author:タウム1
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「自分の感性くらい 自分で守れ ばかものよ」 茨木のり子

この言葉を肝に銘じて、本や映画を鑑賞しています。
やっぱり読書はいいですね。
いつも何かしらの本を読んでいます。
ミステリーから純文学まで・・。
特にノンフィクションはやめられないですね。
知らなかったことがわかる快感、魂の解放って感じで・・・。

オススメ本・・・「おそめ」 伝説のホステスの生涯。何ともいえない思いになりますよ。 「わたしを離さないで」 この気高く、奥深い感じ。小説の魅力に満ち溢れてます。 オススメ映画・・「イン・ザ・ベッドルーム」 二人の女優の演技にホレボレします。  「ザ・コンテンダー」 信念を貫くとはこういうこと。強いメッセージを感じますよ。

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70年前の教え子を今も気にかけている元教師の女性の姿にただただ感動する一冊。 西谷 格 著 「この手紙、とどけ!」
「この手紙、どどけ!」
西谷 格 著




日本統治時代の台湾。
台湾のこどもたちに勉強を教える日本人教師。


戦後、日本人は台湾を引き上げ、
その後に蒋介石とその軍隊がやってきて統治を始める。


時を経て、教え子たちの今が気になった元教師の106歳の女性が、
台湾に宛てて手紙を書く。
しかし、今の住所とは違っていて、
手紙は宛先不明で郵便局で保管されることになる。
普通ならここで終わってしまうところだが、
ここからが奇跡が起こる。
日本からの手紙が気になった郵便局員たちが、
手紙の受取人を配達先で聞き込みして調べ、
家族のもとに届ける。

それから、元教師と教え子たちの時をこえた文通が始まる。

この出来事は、台湾のメディアでとりあげられ、
日本でも一部の新聞でとりあげられたそうだ。


著者は、手紙を教え子の家族のもとへ届けた郵便局員をたずね、
元教え子たちをたずねている。

日本からきたのだから何か大事な手紙なのだろう・・・と、
宛先不明の教え子の住所を調べあげ、
届けた郵便局員たちに感動してしまう。
その心意気に。

そして、数人の教え子の話を聞き、
当時の台湾の様子、学校での生活の様子などが語られる。

日本語の教育をうけていた80歳前後の教え子たちは、
今も流暢な日本語を話し、綺麗な日本語の文字を書いている。
ところどころに、教え子たちの直筆の手紙の画像が載っていて、
それを見ているとなぜか涙がとまらなかった。

日本統治時代の日本人たちはおおむね公平で、まじめで、
規律正しかったと多くの教え子が話す。
楽しかった思い出、厳しく指導された思い出。
話すようすが見えてくるような感じで、
当時の学校様子や雰囲気を想像してしまう。

それぞれの教え子たちの戦後の人生を回想しているのも興味深い。
戦後やってきた国民党軍の傍若無人ぶりに、
日本統治時代を恋しくなる人がほとんどだったそうだ。
貧しかった台湾が、発展していく姿が、
そのまま教え子たちの人生に重なっていく。
事業を起こしたり、仕事についたり、
数々の苦労を重ねながら年を重ねる姿にも感動してしまう。

戦後の台湾では、反日教育がおこなわれ、
日本統治時代に対して否定的な人も多いという。

直接、日本統治を経験した人達が感謝し、
そうでない人が否定するというのも印象に残る。

国民党軍があまりにひどかったので、
日本統治時代がよく見えたというだけかもしれないが。


先生と教え子の交流が深く感動するのはなぜなのか。
それは真心と真心のによるものだからではないか。
70年たっても教え子の健康をこころから心配する女性の姿、
70年前のことをいまでも感謝する80歳の教え子たち。
時がたってもまったくかわらない絆に、
心から感動してしまった。
今の日本からみてなんとうらやましい時代だったのか。

戦前が悪で、戦後が善というありふれた価値観が
いかに陳腐で間違っているかと思い知らされる。
 



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テーマ:ノンフィクション - ジャンル:本・雑誌

ノンフィクション | 16:28:00 | Trackback(0) | Comments(0)
2001年のネパールが舞台のミステリー。  米澤穂信 著 「王とサーカス」
「王とサーカス」
米澤穂信 著

2016年版このミス国内編1位の作品。
各方面で評判になった、
王族殺害事件が起きた2001年のネパールが舞台のミステリー。





著者の作品は「満願」「折れた竜骨」「リカーシブル」等を読んでいる。

それまでの印象は、あまり好みの小説ではないというものだったが、
ランキングで一位ということと、
王様のブランチでも絶賛されていたので読んでみました。


語り手は太刀洗万智という元新聞記者。
今はフリーのライターとして雑誌などで記事を書いている。
物語は太刀洗が取材で訪れたネパールで遭遇する、
王族殺害事件と、その取材で知り合った軍人の殺人事件を中心に語られる。

ネパールが舞台で、しかも王族殺害事件が起きた2001年の物語ということで、
期待度はこれまで以上に膨らんだ。

結論からいうと、
過去の著者の作品と同じ印象で、
好みの作品ではなかった。



ここからは批判的な内容です。
(ファンの人すいません)


冒頭から前半を通して続く、
細かな描写が好きじゃない。
もちろん、後半の謎解きにつながる伏線を潜ませていたりするので、
必要だというのはわかるのだが・・・。



大きな事件が起きた2001年のネパールが舞台ということだったが、
想像していた内容とは大きくかけ離れていた。
なんというかある程度壮大な物語を想像していたが、
まったくスケール感を感じなかった。
王族殺害事件は物語の本筋とはまったく関係がなく、
太刀洗が事件を取材する様子もほぼ緊迫感がなかった。
めくるめくような陰謀に巻き込まれるのかと勝手に想像していた。


ネパールで泊まっている宿の近くをウロウロするばかりで、
終わってみると、安っぽい殺人の真相をつきとめただけだった。

ミステリーや本格推理のファンならうなるような出来なのかもしれないが、
そうでない読者ならそれほど高評価はしないのではないか。

よく出来ているとは思うのだが、
パズルのピースをすべてぴったりはめようと
物語を組み立てているので、
まとめすぎな感じするし、やっぱり全体的に陳腐に感じる。

語り手を含めて登場人物もあまり描けていないように思う。
それぞれの人生の葛藤や苦悩がまったく感じられなかった。
(まったくというのは言い過ぎかも)


物事は何事も好みなので、
興味を持った方はぜひ読んでください。
この作品を気に入るかもしれません。






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テーマ:ミステリ - ジャンル:小説・文学

小説 | 13:47:34 | Trackback(0) | Comments(0)
連鎖する十代の殺人。    一橋文哉 著  「人を、殺してみたかった 名古屋大学女子学生・殺人事件の真相」
「人を、殺してみたかった 名古屋大学女子学生・殺人事件の真相」
一橋 文哉 著



日本中を震撼させた、
名門大学の女子学生が起こした殺人事件のノンフィクション。
犯罪を起こした少年少女は更生できるという前提の今の法体系や更生プログラムが、
限界を迎えているという現状を強く実感しました







名門の名古屋大学の女子学生が知り合いの女性を自宅アパートで殺害した事件。

事件と犯人の女子学生について知れば知るほど、
どうして犯行に及んだのか、
ますますわからなくなりました。


女子学生は仙台出身。
仕事で毎日忙しくしている母親と、
研究に没頭し、仕事らしい仕事をしない父親の、
すこしゆがんだ家庭でそれまでを過ごしている。
仕事をしない父親に母親は厳しくあたっていたらしい。
そんな息苦しい環境から逃れるために、
名古屋大学に進学したそうだ。

化学や薬物に魅せられていた高校時代。
そのころすでに同級生に毒をもり、
失明状態にする事件を起こしている。
しかし事件は体面を気にする学校と、
警察の捜査怠慢でうやむやになってしまう。

また女子学生は動物を実験台にして毒の効能を試したりしている。

すでに異常な兆候はいろいろなところで現れていた。
同級生が失明した事件がもっと捜査されていれば、
新たな被害者は出なかったかもしれない。


動物を殺したりする兆候は、
神戸の酒鬼薔薇少年でも確認されていて、
共通している。


この女子学生が特徴的なのは、
過去に人を殺した(殺そうとした)若い殺人者たちを
崇めたてているところだ。
酒鬼薔薇はもちろん、秋葉原で車を暴走させた男や、
静岡で母親に毒ももった少女など、
事件について詳しく調べて、
その人物にあこがれ、自分を重ね合わせている。

大学に入り、一人暮らしになってからは、
SNSに毒のことなど
さまざまなつぶやきを書き込んでいることにも
驚いてしまう。
自由を手に入れた女子学生は、
妄想を現実にして人を殺してしまう。
計画的なようであり、場当たり的でもある、
幼稚で中途半端な犯行。


殺人者にあこがれる心理。
どうしても理解できない。

恐ろしいのは、十代が起こす猟奇殺人事件は、
確実に連鎖しているという事実。
ネットの発達が少なからず影響していると思う。
今後も新たな殺人者が、現れるだろう。
取返しがつかない事をする前に、
まわりのおとなが気付ければいいのだが。


女子学生の殺されたのは、
宗教の勧誘に訪れた、エホバの証人の教徒の老婦人。
老婦人に対しては普通に対応していた女子学生だが、
実際は熱心な勧誘に反感を感じていたようだ。

優等生だったという女子学生。
家庭環境の影響なのか。
親への反発からなのか。


現代の若い殺人者は少年法や刑罰などを、
よく知っていて、
その上で犯行に及んでいるというもの恐ろしい。

そんな若者の凶悪な犯罪に、
現在の法体系や処罰のシステムが合わなくなってきていると、
著者は警告している。
若者は更生できると考える現在の少年法。

酒鬼薔薇が本を書いたり、
ネットでヌードをさらしたりしている事実を知ると、
著者の警告が的を射ているように感じる。











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ノンフィクション | 00:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
調査報道でスクープを連発した著者の回顧録。  清水 潔 著 「騙されてたまるか 調査報道の裏側」
「騙されてたまるか 調査報道の裏側」
清水 潔 著



多くのスクープ報道をしてきたジャーナリストによる回顧録。
著者のこれまでの仕事が事件ごとにまとめられていてとても面白く読みました。









著者は調査報道を得意とするジャーナリスト。
「桶川ストーカー殺人事件―遺言」では、埼玉県警の怠慢と嘘をあばき、
「殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」では、
足利幼女殺人事件の被告の冤罪の可能性を訴え、
さらには真犯人と思われる人物まで特定している。

警察などの公機関が発表する内容を記事にする報道と一線を画す調査報道。
それは、一から事件や事故を取材し、すべて自分の責任で報道しなくてはならない。

記者の著者が取材を通して感じる違和感。
警察が発表する内容と、取材で得た情報があまりにも違いすぎること。
それらを解消しようと取材に奔走するうちに、
真実に近づく様子は読んでいてぞくぞくする。

各事件の詳細は、各著書を読んでいただくとして、
本書は著者のこれまでの主な仕事が事件ごとに、
コンパクトにまとめられていて、
とても面白かった。


上で書いた二つの事件ももちろん面白いが、
そのほかの事件の取材の裏側も面白かった。


例えば、有名な三億円事件に関与したと名乗り出た男について。
本当に三億円事件に関与したのか調べるうちに、
男が鳩のレースで長距離の記録を作っていたことに突き当たる。
どうもインチキをして記録を作ったようだが、
記録は残っているそうだ。
その後の取材で男は三億円とは無関係であることが分かり、
当時著者が所属していた雑誌ではボツにすることにした。

しかし、後日別の雑誌に同じネタで登場しているのを見かけたそうだ。



それから、北海道で行方不明になった図書館職員の女性の事件。
道警は、家出の可能性が高いと本腰を入れて女性の行方を探さなかった。
しかし取材をすると家出として片づけるには不審な点が多かった。
女性の車が図書館に置かれたままであること。
女性のバッグなどが職場から離れた道で発見されたこと。
そして女性の携帯が職場に置かれたままになっていたこと、などなど。

行方不明になった当日、
図書館は通常通りに閉館し、施錠されている。
図書館から後の足取りがないことから、
図書館で姿を消した可能性が高い。
そうすると自ずと失踪に関与した人物が浮かび上がってくる。
疑わしい図書館を管理していた男を直撃するが、
犯人に違いないとの確信を持つが、追い詰めることはできなかった。
しかし、その後、道警がこの男を逮捕するに至り、
男の供述により女性の遺体が発見される。


多くの場合、犯罪を防ぎ、
犯人を捕まえている警察だが、
場合によっては間違った判断を下し、
自分たちの主張を正当化するために、
嘘の発表をすることもある。

そのことを考えると著者の存在が本当に貴重に思える。
そして、普段、警察の発表の報道で逮捕された人の情報も、
そのままは受け取れなくなってしまう。

報道の意義を大きく感じさせられる一冊です。










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テーマ:新書 - ジャンル:本・雑誌

新書 | 19:16:27 | Trackback(0) | Comments(0)
人気のリンカーンライムシリーズ最新刊。 今回は被害者に入れ墨を入れる殺人犯と対決。  ジェフリー・ディヴァー 著  池田真紀子 訳 「スキン・コレクター」
「スキン・コレクター」
ジェフリー・ディーヴァー 著
池田 真紀子 訳


著者の代名詞、リンカーン・ライムシリーズ第11作。
今作も読者を、心底楽しませてくれる一級のエンタメ作品でした。





ジェフリー・ディーヴァーの新作はなるべく読むようにしています。
どっぷりとエンタメ作品に浸れるので、
読書の楽しみを感じられます。


事故で半身不随になった元ニューヨーク市警の警部、リンカーン・ライム。
現在はその幅広い知識と鋭い洞察力をかわれて、
ニューヨーク市警のコンサルタントとして、
犯罪捜査に協力している。
というか、犯罪捜査をほぼ指揮している。
ファンにはおなじみのリンカーン・ライムシリーズ。


今回の相手は、被害者にタトゥー彫って、
その施術の際に針にインクとともに毒をつけて
殺すという特異な犯行を行う人物。

最初に発見された被害者の遺体には、「the second」と入れ墨は彫られていた。
そしてその文字を囲むように独特の波模様。

犯人はどんな意図があって入れ墨を彫るのか。
この文字は一体何を意味しているのか。
次の犯罪についてのメッセージなのか。


入れ墨を彫る犯人。
捜査の過程で、アメリカにおける入れ墨の現状が書かれていて、
とても興味深かった。
入れ墨だけでなく、皮膚にダメージを与えて、
形を変えたり、印を刻んだりすることも行われているらしい。
ボディーモディフィケーションと言われるらしい。

また、様々な毒を犯行に用いる犯人なので、
いろんな毒についての特徴なんかも出てきて、
それも興味深かった。
(例えば日本のフグ毒のテトロドトキシン。
外国人は毒の危険を知りながらフグを食べる日本人を相当物好きだと思っているらしい。)




現場に残された微細証拠をもとに、犯人に迫るライムとそのチーム。
やがて、半身不随になった事故後にライムが初めて解決した殺人事件の犯人、
ボーン・コレクターの影響をうけ、参考にしていることが分かり、
その後、犯人の最終目的が浮かび上がってくる。

ジェフリー・ディーヴァーならではのどんでん返しも健在。
後半はラストに向けて、犯人や犯行についての事実が次々と明らかになり、
ひきつけられっぱなしでした。


前半にちりばめられた伏線が結末に大きくかかわってくる。
読者(リンカーンも惑わされるが)をミスリードするエピソードも出てくるので、
身構えて読んでいても結局は意表を突かれてしまう。

おそらくは現実のアメリカの社会を反映して描かれていると思われる、
組織や団体の記述がとても興味深い。

ミリシア。

ネットで調べると民兵組織とでてくるが、
本作ではキリスト教原理主義のテロ組織の団体の一つとして登場する。
かなり偏った考えで、
キリスト教やキリスト教徒以外を迫害するような考えが団体の基本になっていて、
実際のアメリカで、もし実在するならとても怖いと思ってしまった。



過去に解決した事件、ボーン・コレクターやウォッチメイカーの事件がかかわっているので、
できれば作品順に読んだ方がより楽しめると思うが、
読んでいなくても十分楽しめます。


たっぷりのページ数で、
しかも上下2段。
いつものことながら、十分に楽しませていただきました。









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エンタテイメント | 19:39:29 | Trackback(0) | Comments(0)
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