投稿日:2007-06-07 Thu
いろんなメディアで結構評判になってます、この本。流行ものに弱いもので、この手のエッセイは得意じゃないんですがとりあえず読みました。
岸本佐知子著
「ねにもつタイプ」
の感想です。
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女のエッセイは、女ならよんでも深くうなづけることもできるだろうが、たいていはどうでもいいですよって感じで投げ出してしまう。
だから、この本もそれ程期待しないで読みましたが、予想以上に面白かったですよ。
日常の瑣末な出来事。嫌な体験。空想。生活メモなどなど。
どの話題でも、著者独特の視点がなければ面白くないのだが、その点、この本は大丈夫でした。
まぁ、いろいろ商品取り揃えていますんで、どんな話をお求めの読者でも必ず好みのものが見つかること受けあい。
個人的に面白かったのものは、「郵便局にて」という空想もの。
郵便局で順番待ちをしていたときに、横から割り込んできたおばさんに対して抱いた思い。
面白かった。
それから「奥の小部屋」というもの。
歩いていて、後ろからベルを鳴らされた上暴言をはいて自転車の男に向けたお仕置きの妄想。
こういう空想ものは、ただ変なことを考えればいいってわけじゃない。
その出来事や、空想の内容をしっかりと的確な言葉で表現しないと読者には伝わらない。
その点でも、この本はしっかりと可笑しさを読者に伝えていました。
伝わって来ましたよ。
他にも何気なく見過ごしてしまいそうな様々なことを取り上げて、著者なりに考えています。
一冊、飽きずに読みました。
そういえば「むしゃくしゃして」っていうのも面白かった。
著者の日常を楽しむ姿勢に脱帽の一冊です。
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投稿日:2007-04-18 Wed
ネットを何となく見ていて、気になった本です。ほんの内容も、著者のこともほとんど知らずに読みました。
いつかは、美術関係の人が書いた本を読みたいと思っていたので、いい機会でした。
今日の本は、原田治著
「ぼくの美術帖」
です。
![]() | ぼくの美術帖 原田 治 (2006/04) みすず書房 この商品の詳細を見る |
美術に関わっている人、芸術家や批評家は、絵や彫刻を紹介したり、批評したりするのに、独特の言葉、自分の表現を持っている人が多いと思う。
テレビなんかで、専門家が絵を解説する言葉は、絵を感じて心に生まれた感情をうまく表現していたりする。
逆に、芸術好きな芸能人が一緒に出ていたりして、コメントしたりすると、その言葉の貧困さと表現の拙さに驚くんだ。
まぁ、それだけ感じたことを表現するのは難しいって事なんだけど。
そんなことを考えながらこの本を読みましたが・・・、
やはり、その表現や言葉は巧みでした。
読んでよかったと思います。
この本、実は1982年に出版されたものの復刊です。
しかし、内容は現在でも十分楽しめるものでした。
とくに後半は。
前半は、著者のお気に入りの芸術家をひとりひとり取り上げ、その作品の素晴らしさについて触れています。
美術関係の知識が疎いせいか、ほとんど知らない人ばかりです。
こんな感じ・・・。
ティツィアーノ
ラウル・デュフィ
小村雪岱
木村荘八
鏑木清方
宮田重雄
鈴木信太郎
アーニー・ブッシュミラー
チョン・デイとオットー・ソグロー
北園克衛
川端実
それぞれ、ひとつか二つは、作品が載っているので、著者の説明にへぇーとうなりながらその作家の素晴らしさを勉強しました。
後半は、著者の日本美術史。
特に、縄文土器についての考察は読んでいて結構納得。
今でこそ、三内丸山遺跡とかが見つかって、縄文時代の文明が進化していたことが分かっているけど、この時代にこれだけ縄文について語っている著者はすごい。
もちろん、芸術的な観点から縄文土器を取り上げたのは、岡本太郎が最初なんだけど、著者は、この岡本の縄文土器に対する解釈に異議を唱えている。
そして、縄文土器こそが日本の芸術の原点だといっている。
ちょっと、いきなり言われると突飛な感じがするけど、その後も読むとなるほどと思えてくる。
社会の発展や共同体の発達につれて、支配者が登場し、芸術は支配者の威厳を誇示する道具となっていく。
その後、時を経て、縄文的な芸術は戦国時代の武将の兜の造形に現れていると著者はいう。
武将の兜がこれだけ、バラエティーに富んでいるとはまったく知らなかったけど、いわれて見ればそんな気がしないでもない。
だって、図版も載っているけど、蟹の爪が乗っかってたり、熊やウサギの顔が兜になってるんだよ。
耳がピーンと立って・・・。
今なら、アキハバラのメイド喫茶の猫耳って所だけど・・・。
戦国時代の萌え系だよ。
そのほか、江戸の歌舞伎、浮世絵(とくに歌川豊国について)、俵屋宗達、富岡鉄斎、岸田劉生なんかについても考察している。
そのすべてに共通しているのは、縄文的な美意識ってこと。
結構、眼からウロコが落ちましたよ。
当初の目的以上の収穫のあった本でした。
欲を言えば、もっと図版が多くても良かったかな・・・。
日本の芸術の原点、縄文的な美意識の重要さに気づかされる一冊です。
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投稿日:2006-07-06 Thu
体にぴったりフィットしたコスチュームを着て、派手なヘルメットでバッチリ決めた自転車乗りとすれ違うことがたまにある。自転車を好きな人もいるんだとなんとなく考える程度だったが、自転車の奥の深さを実感させてくれる本と出会ったので、今日はその紹介を。
その名も「こぐこぐ自転車」伊藤礼著。
![]() | こぐこぐ自転車 (2005/12/14) 伊藤 礼 商品詳細を見る |
タイトルがイメージさせるとおり、堅苦しくなく、楽しく読める本。
もちろん、自転車に興味がない人でも十分楽しめる。
文章が何とも軽く、すいすい読めてしまう。
著者は、古希を過ぎた元大学教授。
定年後に突如、自転車の魅力にとりつかれ、ついには、自転車を6台所有にまでいたる。
しかも、それがホームセンターやドンキで売っているような自転車ではなくてスクーターが買えてしまうほど、値段の高価なもの。
さらに上はもっと高いものもある。
たしかに、有名自動車メーカーやブランドの自転車が一時期大流行したが、こんなに自転車にピンきりがあることにびっくり。
元大学教授だけあってその辺は向上心、研究心にあふれる著者のこと、乗り心地にこだわり、新しいモデルに興味を抱くなどして、次々と自転車を買う。
そして、走る場所やコースによって乗り分けている。
著者の年齢からすると、「今時の若者は・・・」とか、「まったく、今の世の中どうなっているのか・・・」と説教じみたことになりそうだが、そうならず、著者の控えめの人間観察や町や道の分析のバランスが読んでいて本当に心地いい。
旅行先や町に出かけたときに出会った店員やオヤジ、おばさんなんかの観察は鋭く、その人に対する突っ込みも絶妙。
物事に対する薀蓄を披露する度合いもあっさりしていて好感が持てる。
そして、鎖骨や親指の骨を折ったり、心臓に負担をかけて体に異常をきたしても、自転車への情熱が冷めない著者に脱帽。
そんなに自転車って気持ちいいのか。
だったら、やってみようかな。
そう、思わせてくれる。
何十万もする自転車は買えないから、とりあえずママチャリで・・・。
ちなみに、著者名で、鋭い人はピンと来たはず・・・。
著者はあの有名作家の息子さんです。
余生を十分に楽しむ著者がすごく羨ましく思え、
何度も読み返したくなるような味わいのある一冊です。
ぜひ・・。
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