投稿日:2008-03-01 Sat
村上春樹著「走ることについて語るときに僕の語ること」
村上春樹の新刊。
当然、ベストセラーランキングにも登場。
ということで迷わず、手にとりました。
![]() | 走ることについて語るときに僕の語ること (2007/10/12) 村上 春樹 商品詳細を見る |
タイトルからもわかるとおり、小説ではなくて、マラソンやトライアスロンそしてそのレースに出場するためのトレーニングについてのエッセイだ。
よんで、久しぶりの著者の文章の心地よさを改めて実感。
すいすい読めてしまう。
運動を好んでするほうではないのだが、なかなか面白かった。
それは、体とかスポーツのことを語りながら、ところどころ、人生論や小説論、作家論が織り込まれている。
それが、自然にでてくるので、スゥーっと体に入ってくるようだった。
村上春樹的な表現も満載。
比喩、断言。それも、小気味いい。
そして、ハワイとかニューヨークとかアテネとかワールドワイドなマラソンエッセイだからちょっとおしゃれな気分になれる。
いつもの著者の作品のように。
こっちは毎日のように納豆を食っているような生活をしているんだけど・・・。
気にいったところをちょっと引用します。
「長編小説を書くという作業は、根本的には肉体労働であるとボクは認識している。文章をかくこと自体はたぶん頭脳労働だ。しかし、一冊のまとまった本を書きあげることは、むしろ肉体労働に近い。もちろん本を書くために、何か重いものを持ち上げたり、早く走ったり、高くとんだりする必要はない。だから世間の多くの人々のは見かけだけを見て、作家の仕事を静かな知的書斎労働だと見なしているようだ。コーヒーカップを持ち上げる程度の力があれば、小説なんて書けてしまうんだろうと。しかし実際にやってみれば、小説を書くというのがそんな穏やかな仕事ではないことが、すぐにおわかりいただけるはずだ。机の前に座って、神経をレーザービームのように一点に集中し、無の地平から想像力を立ち上げ、物語を生み出し、正しい言葉をひとつひとつ選び取り、すべての流れをあるべき位置に保ち続ける・・・そのような作業は、一般的に考えられているよりもはるかに大量のエネルギーを、長期にわたって必要とする。・・・・・・」
多くのベストーセラーを生み出す著者の、実にストイックな生活がよくわかる。
ほんの中でも書かれていたが、名作小説を作り出すために、著者は普通の人が楽しんでいるようなことをすべて生活から追い出している。
それができるかできないか。
それも、作家の条件のような気がした。
小説以外でも、著者の文章の虜になってしまった。
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