投稿日:2016-07-09 Sat
「流」東山彰良 著
台湾・外省人一家の物語。
直木賞受賞作品。
直木賞受賞作。
著者の作品は初です。
台湾出身の著者の半自伝的な内容なのかと、
想像しながら読みました。
冒頭、いきなり脱糞のシーンからはじまり、
度肝を抜かれました。
文章は読みやすく、好感が持てました。
戦後の内戦に敗れ、
蒋介石とともに大陸から台湾にやってきた国民党の人々。
それらの人を台湾では外省人と呼ぶらしい。
それに対し、もともと台湾にいた人を内省人と呼ぶ。
語り手は、外省人として台湾にやってきた外省人を祖父にもつ秋生。
秋生の成長と時代とともに変化する台湾の様子を描きながら、
一家の運命とルーツの謎を描いている。
秋生の青春時代は日本の不良を見ているようで、
親しみがわく。
ところどころ台湾の発展の様子や日本の流行の影響なんかもえがかれ、
時代とともに変わりゆく台湾の様子も興味ふかい。
外省人の人たちの大陸や国に対する考えが
とても興味深かった。
今はもうそんな人は少ないかもしれないが、
外省人はいつか中国にもどって主流になると思っていたそうだ。
自分たちこそが中国人だと思っていたのだろう。
何をするにも豪快で強引な外省人の秋生の祖父。
そんな外省人はもともと台湾にいた内省人にとっては、
モラルにかける野蛮な人間に見えたことだろう。
本書には内省人の視点からの記述はないが・・・。
本書の前に「この手紙とどけ」を読んだ。
まったく立場の違う台湾の物語を読んで、
台湾をより立体的に理解できたように思う。
祖父の死が物語の核となっているが、
ラストはやや強引にまとめた感じがしてしまった。
いつも食べてるあのお菓子の地方限定の味≪プリッツ ずんだ味≫
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