投稿日:2015-08-31 Mon
「新車の中の女」セバスチアン・ジャプリゾ 著
上司の車を無断で乗り回したら、不思議なことが起こり始めて・・・。
傑作ミステリーの新訳。
著者はミステリーファンの間では結構有名な作家とのこと。
失礼ながら今回初めて知りました。
とはいえ、さすがに傑作と言われるだけあって、
読み応えのある作品でした。
本書は60年代に翻訳されたフランスの作品の新訳です。
まったく時代を感じさせない内容で十分に堪能しました。
冒頭、著者のインタビューの簡単な内容が載っています。
読み終わるとわかりますが、話をじっくりと作りこみ、
読者を楽しませようとする作家の企みがすでに始まっていたと感じました。
広告代理店で働く若い女ダニー。
ガソリンスタンドのトイレで気が付くところから物語は始まります。
そこから、ダニーの語りで、これまでの経緯が語られます。
ここが結構長く感じて、ちょっとうんざりするんですが、
あとから考えると、何ともうまいと感じてしまいました。
語り手のダニーの人となりがよくわかるし、
現在の状況が徐々に明らかになる。
物語はこんな感じ。
広告代理店に勤めているダニー。
ある日、社長から徹夜のタイプの仕事をたのまれ、
その後、空港まで社長の自家用のオープンカーで送ってくれと言われる。
空港まで社長一家を送り届けたあと、
ダニーの中の悪魔がささやく。
このまま車を借りて海までドライブしても社長は気づかないだろう・・・と。
かくしてダニーは、真っ白なスーツでセレブを気取り、
自由気ままなドライブに出発する。
しかし行く先々で不思議なことが起こる。
立ち寄ったガソリンスタンドのトイレで誰かに襲われ、
左手を痛めてしまう。
そしてそこにいた男たちに昨日もここに来ただろうといわれる。
服も同じ、車も同じ。間違いなくダニーだったと。
仕事のあとで徹夜をしていたダニーだからそんなはずはないと否定するが、
その後にも警官やホテルでも昨日も来たと言われて、
わけがわからなくなるダニー。
これはだれかの企みなのか、
それともダニー本人がなにか問題を抱えているのか。
読者はダニーと一緒に疑心暗鬼の渦の中に巻き込まれる。
ダニーの心も大きくゆれるが、
さらにダニーを混乱に陥れることが起きる。
車のトランクから見知らぬ男の死体が出てくるのだ。
あらすじだけ読むとちょっと荒唐無稽って思ってしまうが、
孤児院で世話してくれた今はもういない、
ママン・シュップ院長先生と会話ややりとりをしたりする、
ちょっと変わっているダニーの語りだから、
ぐいぐいと惹きこまれて読み進んでしまう。
ラストは読者の期待どおり(?)の結末で、
すべての謎がとける。
(若干、説明しすぎているような気もするが・・・)
セレブや少し上級の生活にあこがれている女の気持ちが、
すごくよくわかるので、ダニーに共感できるところが多々あった。
それは現代の女にも通ずるものだと思う。
だからまったく古さを感じさせない。
さまざまなフランスの町が出てくる
フランスの土地勘があればもっと楽しめるのではないかと感じたが
最初から最後まで著者の企み楽しませてもらいました。
ぜひ、他の作品も読みたいです。
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投稿日:2015-08-10 Mon
「韓国人が暴く黒韓史」シンシアリー 著
韓国の人気ブロガーによる人気の新書第3弾。
反日一色に染まる現代の韓国と韓国人を理解するうえでとても役にたつ一冊です。
著者は韓国で歯科医院をしている人気ブロガー。
幼いころから日本の文化に親しんだことで、
一般的な韓国人とは違う歴史観を持つにいたる。
前の2冊でもそうだが、
その歴史観とか歴史認識が本当に適格。
(日本人から見ると・・・・)
韓国人でもこんなにしっかりした考えをした人がいるのかと、
驚くと同時に、少しほっとする。
著者が言うように、
対韓国の外交は少し距離を置いた方がいいと思う。
無理やりすり寄って、
日韓友好を演出する2002年のワールドカップの時のようには
するべきではないと改めて実感した。
近代化を自分たちでなしえなかったこと、
日本に併合されて近代化したことが韓国は強烈に悔しいらしく、
いまでもその事実を引きずっている。
国交正常化の条約を本気で無効にしようと考えているのがすごい。
日本からすれば、その時点ですべて解決させたつもりでいたから、
決して少なくない金額をはらったのに・・・。
当時の条約には盛り込まれていないとばかりに、慰安婦とか強制労働とか、
手を変え品を変え、戦後の補償を引き出そうとしているそうだ。
(そのほとんどが韓国人の創作とか妄想とかの類で、それをまことしやかに報道するから、既成事実だとさらに怒りを爆発させるのだと思うが)
著者は補償のおかわりと言っているが、
この後もおかわりは続くだろう。おわりなく。
だから、少し距離を置いて、
何かにつけて難癖をつけてきても放っておくのが一番なのだ。
外国での告げ口的な言動にはきっちり対処した方がいいとは思うが。
国や政府の正統性を特に重視していたり、
北朝鮮を国とは認めていないとか、
改めて思い知らされる韓国人価値観や思想に驚く。
後半は、戦後の各大統領とその政治や時代背景なんかを解説していて、
これはとても参考になった。
基本的に親日の大統領は存在せず、
北朝鮮への敵意があった時代は単に反日が前に出てこなかっただけだった。
自分たちがこれほど過酷な運命なのは、
すべて日本の支配があったからだという強烈な被害者意識。
韓国全体にこびりつくこの負の感情はちょっとやそっとではなくならない。
日韓友好なんてほんとに幻想なんだ。
(個人と個人の付き合いとして韓国人と親しくはなりたいが・・・)
少し視点を変えて日本が支配した時代の功罪を
冷静に分析してほしいとおもうのだが・・・。
広いアジアにおいて日本が占領した朝鮮と台湾だけが、
いち早く近代化を成し遂げたのは偶然ではないはずだ。
近代においての韓国は日本がなけれがこれほど繁栄しなかったと思う。
日本の文化や経済の照り返しで存在しているのに・・・。
(少し辛辣すぎるかもしれませんが・・・)
中には著者のように親日の人もいると思うが、
韓国に日本友好を期待するのはあまりにも
無邪気すぎると思い知らされる一冊だ。
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投稿日:2015-08-09 Sun
「宿命の子 笹川一族の神話」髙山文彦 著
モーターボートレースを主催し、政界財界に多くの影響力をもった
笹川良一とその三男、陽平の人生を中心に戦後の笹川一族を追ったノンフィクション。
笹川良一という稀代の人物の実像に驚きました。
笹川良一。
子供のころ、多くの子供を率いてCMに出ていた姿が印象に残っている。
「人類みな兄弟」
そういうキャッチフレーズが思い出される。
世の中ではあまり良い噂を聞かなかった。
しかし、その実態はあまりにかけ離れていて驚く。
日本はもちろん、世界の平和や人類の共栄を本気で願っていたんだと、
感激してしまう。
困っている他人には、救いの手を多く差し伸べているのだが、
身内、特に3人の息子にはとても冷たい。
笹川良一については、本書の前に「悪名の棺 笹川良一伝」
を読んでいたのでその豪快な生き方と、
人類の平和を本気で考えていたこと。
そして息子たちに冷たかったことなどはほぼ知っていた。
本書は良一の三男の陽平氏の人生を通して、
笹川一族を描いているので、
家族の視点からみる良一の一面が詳しく書かれている。
株などの投資で若くして財をなす良一。
困っている人や頼ってくる人は放っておけない性分で、
お金を渡したり、仕事を世話したり、
とてもまねできない。
国や世界の平和や共存共栄を考え、
戦前、政党を組織して、
国会議員を努めている。
終戦では、自ら戦犯になることを望み、
希望通り戦犯として巣鴨プリズンに収監される際には、
支援者たちに万歳で送り出される。
巣鴨プリズン内では、
敗戦の責任と処罰の不安から、
戦争を指揮した責任者の誰もが打ちひしがれているが、
良一は一人元気に過ごし、
進んで掃除などの労働をこなす。
そして落ち込んでいる人間を励まして回る。
また、大東亜戦争を起こして日本の立場を正面から主張して、
GHQ宛てに文章を出したりしている。
なんとも豪快で、常に活力にあふれている良一の姿は、
読んでいるだけで、こちらも元気が出てくるようだった。
死も恐れずに自分の考えを主張する良一の自信は一体どこからくるのか。
その理由のひとつが、かなりの巨根だったということではないかと思った。
本文中にもそのエピソードが出てくる。
(半分冗談ですが・・・。息子も認めるほど立派だったそうだ)
そのほか、戦後のモーターボートレースを始めたことや、
その収益の一部を社会貢献に使うようにしたことなど、
硬軟、さまざまな逸話が語られて、読んでいて飽きなかった。
そして、良一の三男の陽平。
まったくの他人には世話を焼くのに、
実の息子たちにはまったくと言っていいほど
愛情を注いでいない。
そのため、3人の息子たちは成人するまで、
良一と親子らしいかかわりを持たずに育つ。
大学進学のために、東京の良一の家に住むことになる陽平は、
息子というより、下男として移り住む。
掃除や洗濯、風呂の準備など、
学業以外はほぼ家の仕事をしている。
付き合いの多い良一なので、
毎晩のように客が訪れ、
何人かは家に泊まって行ったりするので、
世話も大変だったようだ。
笹川良一のビッグネームの七光りで、
政界や財界でのし上がって行ったんだろうと勝手に想像していたので、
本当に驚いた。
苦労を知らない2代目というわけではなかった。
むしろ苦労しまくり、苦労押し付けられまくりだった。
息子にこれほど厳しい父ながら、
陽平は良一を尊敬していたというからすごい。
やはり、父が私利私欲をすてて、本気で日本や世界を良くしようと
日夜奮闘していたのが分かったのだろう。
紆余曲折を経て、日本財団の理事長になる陽平だが、
社会貢献の分野で世界を飛び回り、
いろいろな活動をしていて本当に頭が下がる。
あらゆる集団と距離をおき、孤高の姿勢を崩さずに、
信念をもって自らを貫きとおす。
日本財団の理事長の人事などでは、
官僚や政治家が盛んに介入してきたり、
財団内部の不祥事でマスコミにたたかれたり、
当局に捜査されたりしたが、
自分や財団には一部のやましさもないと堂々としていた。
さすが良一の息子という感じでしびれてしまう。
人間なのだから何かしら弱みがあるとはおもうのだが、
自分を律して生きているだけあって自信も相当なものなのだろう。
陽平の功績としてハンセン病の克服の様子が描かれている。
聖書にも書かれているというこの病は、
その病状の性質状、どうしても差別される運命にあった。
しかし、陽平は日本財団をとおしてハンセン病の特効薬を世界中に配布して、
全世界からこの病を根絶させることにほぼ成功している。
また元患者などが不当に隔離や差別されている現状を訴え、
差別をなくす活動を世界で展開している。
あまり報道されていないが、
もっと日本では扱われていいのではないかと思った。
これほどのまったくの真心からの援助で、
しかもこれほど成功しているものはそうはないのではないかと思う。
良一とは対照的に陽平はあまりメディアには出たがらないのかもしれないが。
北朝鮮の日本人妻の一時帰国での陽平の活躍についてや、
沈没船の引き上げにかかわる詐欺など、
昭和の近現代史の裏面についても書かれていて、
歴史を切り口として読んでも面白いと思う。
(著者の語りが結構横道にそれるが、それはそれで面白かった)
豪快で活力にあふれ、本気で世界平和や共存共栄を願っていた良一。
マスコミや世間に誤解されていた父の汚名をそそぐことが
使命だとする陽平氏の姿。
何にもなびかずに孤独を恐れない陽平氏の姿。
この親子の前では、戦後のどの政治家も小物に見えてしまう。
できればじっくりを腰を据えて
もっといろいろと陽平氏の話を聞いてみたいと思ってしまった。
大著だけあって、ここに書ききれないほど、
いろんなエピソードがでてくるので、
読後は本当におなかいっぱいって感じでした。
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