投稿日:2015-07-17 Fri
「浮浪児1945 戦争が生んだ子供たち」石井光太 著
70年前、東京大空襲で未曾有の被害を受けた東京の下町。
家を焼かれ、親や兄弟を失った多くの戦災孤児が行き場を失い、
地下道などで暮らし始めて、やがて浮浪児と呼ばれるようになる。
豊かになった今こそ覚えておきたい戦後の日本の姿。
東京大空襲で家族や家を失い、
地下道などの路上での生活を余儀なくされた孤児。
生きるために食べ物盗んだりしたことから、
浮浪児と呼ばれ人々からは忌み嫌われた。
多くの浮浪児が暮らしていた上野周辺の様子を中心に、
戦後の浮浪児の戦後をつづっている。
冒頭、浮浪児の遺書が載っていて、
当時、誰からも救いの手を差しのべてもらえず、
自殺が最良の選択肢だと決めた少年の、
悲痛な叫びが胸に突き刺ささる。
誰のせいでもなく、ただ戦争で親・兄弟を失ったというだけで、
戦後も差別されていたという。
誰もが生きるのに精いっぱいだったというのはわかるのだが、
なぜそこまで差別するのか不思議だった。
実際、戦後の混乱期に生きていたら、
自分の差別していたかもしれないが・・・。
多くの戦災孤児を生み、過酷な運命を強いた東京大空襲。
戦争や軍事とはほぼ関係のない一般市民を無差別に大量殺戮した、
米軍に腹がたつ。
集団的自衛権や安保法案について考える時に、
70年前の米軍のこの蛮行を決して忘れてはいけないと思う。
日本人がいつまでも語り継ぐべきことだ。
そして、国民をこれほど過酷な状況に追い込んだ当時の政府に、
本当の戦争責任を感じる。
浮浪児というテーマなので、
悲惨な話をこれでもかとアピールするのかと想像したが、
その日暮らしの過酷な浮浪児の日々でも、
楽しみや安らぎがあったことも書かれていて少しほっとする。
著者の力量やセンスがわかる。
浮浪児たちの生活とともに、
当時のたまり場だった上野や御徒町の当時の様子や、
戦後の復興や発展、特にアメ横の発展の様子はとても興味深い。
また、民間の孤児院についても取材していて、
そこでの元浮浪児たちの生活の様子や、
その後の人生にも迫っている。
何の得にもならないのに、
街にいる浮浪児をほっとけずに、
家に連れて帰り面倒を見始めた孤児院の創設者には、
本当に頭が下がる。
元浮浪児たちのその後の人生について、数人を取材している。
戦災孤児だったことが人生全体に暗い影響を与えていて、
今でもその事実を引きずっている人。
下積みの後に事業を興しバブル景気の崩壊で、
すべてを失った人など、
一人の人間の人生を俯瞰できるのも読みどころだと思う。
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投稿日:2015-07-04 Sat
「百田尚樹『殉愛』の真実」角岡 伸彦 , 西岡 研介 , 家鋪 渡 他 著
疑惑のベストセラー、「殉愛」の検証本です。
「殉愛」を読もうとしている方や読んだ方は必読の一冊。
「家敷さくら」なる人物の本性に驚くこと必至です。
「殉愛」騒動に初めて触れたのは、百田さんのツイートからだった。
ネットの住民がたかじんの再婚相手の経歴を詮索していることを非難する内容だった。
「殉愛」も読んでなければ、「金スマ」も見ていない状態だったので、「殉愛」についての世間の評判が明らかになってから興味を持ち始めたので、この本を読むまでは、家敷さくらや百田尚樹さんがなぜそれほど非難されるか、あまりピンとこなかった。「殉愛」の善悪をハッキリ描いている人物像は、ノンフィクションとして問題あると思ったが・・・。
本書では「殉愛」で描かれた家敷さくら像とは
まったく別の姿が暴かれている。
逆に、非情で性格の悪い人間に描かれていたたかじんの実の娘や、
マネージャーもまったく違った人間だと書かれている。
強引に口説かれた女が、
たかじんの持っている資産や金にまったく興味を示さず、
たかじんを深く愛して、無償の愛で、
末期がんの男を献身的に介護して最期をみとる・・・。
それが「殉愛」の核だ。
しかし、本書によるとたかじんの死後、
自宅の金庫にあった3億近い金の大半は
自分のものだとさくらは唐突に主張し始める。
その根拠はたかじんとさくらが業務委託契約を結んでいたからという。
つまり、無償の愛などではなく、
有償、それもとてつもなく高い愛だったことになる。
「殉愛」の設定が根底から崩れている。
さくらの主張を裏付ける根拠として、
たかじんが書いたとされている疑惑のメモについても
本書は筆跡鑑定と書かれている内容で検証している。
とても納得できる内容で、
これまで付き合いのあった人も、
たかじんの筆跡とは似ても似つかないと言っている。
その他、さくらと百田尚樹さんの言動に対する反論や検証が行われるが、
読んでいくとゾクゾクして何とも言えない恐怖を感じた。
それは、「さくら」なる人物の意図が容易に想像できるからだ。
何となく頭に浮かんだ言葉は「後妻業」。
端から金目当てで近づき、その卑しい魂胆を隠すために売れっ子作家に美談の本を書かせた。そして、無償の愛に信憑性をもたせるため、たかじんの筆跡に似せてさまざまなメモを偽造したのではないか。
一体このさくらという人物はどういう人間なのか。
これまでどんな人生を歩んできたのか。
自然と関心はそこに向かう。
多くの人が批判したように、
さくらに離婚歴があることを「殉愛」では書かれていない。
本書ではその離婚歴も取材している。
たかじんと付き合い始める前のイタリア人だけではなく、アメリカ人や日本人とも離婚しており、最初の日本人との結婚では日本国籍を取得して帰化し、離婚後も元夫の姓を名乗り続ける。
2度目の結婚のアメリカ人の元夫が取材に応じていて、さくらが金に執着していた様子を語っている。
アメリカに留学していたとか、叔父さんが(5000万円をくれた)いるとか、出てきたエピソードも次々否定されている。
名前を変え、経歴を偽り・・・。
「経歴ロンダリング」
本書がそういうのも納得できる。
次の興味は、百田さんがこのさくらなる人物をどこまで理解して「殉愛」を書いたかということ。できるならば百田さんも騙されていたと思いたかった。
たかじんの遺言で、遺産を寄付する予定の母校や団体に対して行われたさくらの寄付放棄要求交渉。その会合の場に百田さんも出席している。かなり深くまでさくらを知っていたのではと考えてしまう。どうしてそこまでこの人物に入れ込むのか、不思議で仕方ない。週刊文春に載るはずだったさくらの記事を圧力をかけて掲載を止めさせたほどだ。
たかじんの死と、死後に家族への連絡を頑なに拒み、火葬を急いでいることにも疑惑の目が向けられている。
疑惑の深さは想像以上だった。
「殉愛」を読んだ人はもちろん読んでいない人にもおすすめしたい。有名人に近づく特異な人物が本当に実在するのを実感できる。そして、スキャンダルを正義感丸出しで取り上げていた、週刊文春や週刊新潮やFRIDAYなどの週刊誌が人気作家の圧力に容易に屈する出版業界の作家タブーという事実もよくわかる。
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