投稿日:2015-04-25 Sat
「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」坪田信貴 著
映画化もされる、ベストセラーで話題の本。タイトル通りの内容でした。
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どこの書店でもベストセラーの棚にあるので、
あまり興味はなかったが読みました。
タイトル通りの内容で、
それ以上でもそれ以下でもなかった。
これほど話題になったのは、
本の内容よりも、編集者や出版社の戦略が大きいのではと思ってしまった。
本を読んだ人なら知っていると思うが、
表紙の女の子はこの本に登場する人物とは、
まったくの別人。
ギャルをイメージさせるモデル。
この表紙とタイトルで手に取った人が多かったのは間違いないと思う。
今でもこの表紙のモデルをビリギャルと勘違いしている人が、
相当数いるんじゃないか。
本を読むとビリギャルは登場するが、
人物がリアルに感じられない。
著者は塾の“カリスマ”講師。
ビリギャルには塾でしか接していないので、
まぁ、仕方ないと言えば仕方ない。
モデルを起用してギャルをリアルに感じさせた、
編集者の気持ちがよくわかる。
まったく勉強に興味がなかった金髪のギャルが、
一心不乱に受験勉強して、
慶応大学に合格する。
そのいきさつが、
数々のエピソードとともに語られる。
ギャルのさやかちゃんが、
当初はいかにおバカだったか。
聖徳太子を「せいとくたこ」と読んで、
太っている人だと言っていたとか・・・。
そのほかにおバカエピソードが次々が登場するが、
本当なのか?と首をかしげてしまう。
かなりネタも含まれているのではと想像して読んだ。
あまりにも嘘くさいので、
ビリギャルのさやかちゃんは架空の人物なのではと思ってしまったが、
この本には登場しなかったさやかちゃんは、
ネットなどでその姿を確認できるの。
本当の話なんだと単純に思ってしまった。
どうしても違和感を感じるのは、
母親を「ああちゃん」と呼んでいるところ。
慶応大学を目指す前にやるべきことがあるように思うのだが、
そんなことを言うのは凡人だけなんだろう。
前半のおバカエピソードと後半の猛勉強の様子。
どちらもあまり興味をもてなかったが、
面白かったのは、著者の受験テクニックの解説。
勉強方法やノートの取り方。
参考図書の紹介など、具体的な内容は読んでいて感心してしまった。
しかし、著者の教えを受けるには、
相当の金額を払わなければならない。
無制限に著者の塾にいくためには100万以上の授業料を払わなければならない。
この本でもああちゃんが金策に困っていたと書かれている。
本人の努力もそうだが、
偏差値40で慶応大学を目指すには、
ある程度財力のある家でなければ無理なようだ。
感じにルビがふってあるので、
中学生や高校生をターゲットにしているように思いきや、
巻末では人材育成や学生との接し方にについての解説も書かれている。
仕事をしている社会人が読むには、
かなりうつっぺらが内容だと思うのだが・・。
どんな人がこの本を一番読んでいるのだろう。
塾での出来事だけでなく、
家でのやり取りや、さやかちゃんの受験会場での様子など、
本人しか知りえない内容も書かれている。
後で取材したとのことだが、
なんかしっくりとこなかった。
受験のノウハウの本としても、
困難を克服するノンフィクションとしても、
中途半端に感じた。
難関大学を目指す若い人は読んで損はないと思うが、
そんな人はこの本を読むまでもなく猛勉強しているだろう。
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投稿日:2015-04-25 Sat
「住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち」川口マーン恵美 著
ドイツ在住の著者の、日本とドイツの比較文化エッセイ。
それぞれの国の長所、短所がよくわかる一冊です。
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刺激的なタイトルに比べて、
内容は実に堅実な内容。
日常生活のレベルでドイツと日本の暮らしやすさを
十番勝負で比較するのかと思いきや、
冒頭、著者が尖閣諸島を訪れる様子が描かれている。
違和感を覚えながら読み進むと、
日本人が一番アレルギー反応を示す、
軍事や国防について考えさせる内容になっている。
長年ドイツで暮らしている著者だけあって、
日本のノウテンキな平和ボケや非常識さを的確に指摘している。
「クールジャパン」的な番組がやたら増えている昨今。
日本の長所、短所を冷静に指摘している著者の存在は貴重に思える。
日本に足りないのは論理とか哲学とか。
あれだけ反原発のデモが大々的に起こっていたのに、
選挙では原発容認の政党が勝つという不思議。
本当に世の中を変えようとするなら選挙で政党を変えるのが一番なのに。
反原発を本当に求めているわけではなく、
ただ単に大騒ぎしたかっただけなのか・・・。
日本の大学教育の低レベルさを嘆く著者だが、
日本の義務教育は絶賛する。
ドイツでは、エリートと職人との進路がはっきり別れていて、
学校も違っている。
それが、歴然とした格差を生み、
上流階級はその教育制度の改革に根強く反対しているそうだ。
漠然と平等が行き届いているドイツを思い描いていたので、
単純に驚いた。
EUやユーロが行き詰っている現状や、
ドイツやフランスなど各国の立ち位置や姿勢を書いているところも
興味深かった。
東西ドイツ統一とEU誕生についてや、
ドイツがEUやユーロを維持しようと孤軍奮闘している姿など・・・。
実際ドイツで暮らしている生活感覚で書かれている。
隣国との外交で失敗していたりする姿は日本と共通していると、
ちょっと親しみを感じてしまう。
労働時間を必要とするサービス産業や商店などの接客は、
日本が優れているというのは外国人からよく聞く話。
ドイツでは法律で閉店の時間が決められていて、
休日や夜間は開いている店はないという。
その不便さを楽しむのがドイツ人。
休日は店が開いていないので、
逆にその環境で休日を楽しめるとのこと。
すこしくらい不便を楽しむのも
日本人には必要なのかも・・・・。
著者の冷静な視点での両国の比較で、
日本がより分かる一冊です。
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投稿日:2015-04-14 Tue
「熔ける大王製紙前会長 井川意高の懺悔録」
井川意高 著
会社から借金してまでギャンブルにハマった、
大王製紙の元社長の告白本。
とても興味深く読みました。
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会社から借金してまでギャンブルにハマった、大王製紙の元社長の告白本。とても興味深く読みました。
著者は大王製紙元社長で、創業家の3代目。
大きく報道されたのが記憶に新しい、
ギャンブルで大王製紙の子会社に巨額の借金をしたスキャンダルで話題になった。
借金の総額はなんと100億以上。
ギャンブルの恐ろしさを改めて思い知らされた。
冒頭、ギャンブルにハマる著者の姿が描かれる。
カジノのいわゆるVIPルームで、
1度に数百万数千万単位の掛け金で行われるバカラ。
マカオ、シンガポールのカジノの様子や、
VIPの待遇にため息が出てしまう。
読者の期待通りの内容で、
すんなりと著者の世界に惹きこまれてしまった。
その後は著者のこれまでの人生が語られる。
このあたりはあまり期待していなかったが、
なかなか興味深く読んだ。
幼い頃から期待されていた御曹司の人生。
四国から東京へ引っ越し、
勉強の末に東京大学に入学。
本人は自分はそれ程特別な存在ではない・・・的な
記述をしているが、
傍から見ればやっぱり恵まれていると思った。
父親の存在がいろんな意味で特別で、
著者にさまざまな影響を与えていると感じる。
著者とはまったく別の性格で、
反発しながらも会社で業績をあげる父を尊敬している。
大学生活から、大王製紙への入社、子会社の社長就任、
本社副社長・社長就任への過程の話は、
正直、自慢話や武勇伝を聞いている感じだった。
それでも、結構面白かったが。
興味深かったのは、
芸能人やアイドルとの関係。
スポンサーや後援者を求めてか、
大企業の重役たちに近づいてくる人たちが、
実名で出てくる。
芸能人ならふつうのことかもしれないが、
改めて、夜毎きらめく別世界が繰り広げられているのかと、
うらやましいような、嫌悪したくなるような、
何とも複雑な気持ちになった。
そして一番の読みどころは、
著者のスキャンダルが発覚した後に、
雑誌に載った著者のノンフィクションへの反論。
そのノンフィクションを書いたのが佐野眞一。
ソフトバンクの孫社長の人生を描いた「あんぽん」を
とても興味深く読んだのを覚えている。
しかし、内容が孫社長の出自や家庭環境をこきおろす内容で、
悪意が透けて見えるようだったので、
何か違和感を感じたのも覚えている。
そして、その後、橋本大阪市長の出自などを書いた週刊誌の記事で、
非難されることになる。
少なからず、そのいきさつに興味を持っていたので、
著者の佐野眞一に対する反論はとても納得できた。
(ネットで調べると佐野さんはどうもいわくつきの作家らしい)
読んでいる方としては、興味本位で読んでいるので、
実在するかどうかわからない人物の言葉も信じしてしまうが、
著者は事実をあげて、ひとつひとつ反論している。
大企業の御曹司の人生をふつうに聞いても、
興味を持てないと思う。
著者がギャンブルで逮捕されなかったら、
ここまで書いてくれなかったじゃないかと思うし、
落ちるところまで落ちたから多くをさらけ出したんだと思う。
(日経新聞の私の履歴書的なものだったら、
読んでても興味が持てないから・・・)
不謹慎だが覗き見する感じで、
御曹司の転落までの人生を楽しませてもらった。
読者が最後まで飽きないように、
構成してあるのですごく読みやすくもあった。
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投稿日:2015-04-05 Sun
「漆黒の森」ペトラ・ブッシュ 著
酒寄 進一 訳
ドイツの小村の森で見つかる若い女の死体。
遺体の腹は切り裂かれ、妊娠中だった胎児が抜き取られていた・・・・。
暗くて悲しい、ドイツミステリー。
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物語は、若い女の死体の発見から始まる。
発見したのは、トレッキングのガイドブック執筆のために、
森に分け入っていた編集者のハンナ。
その後、通報を受けてやってくる捜査責任者で、
主任警部のモーリッツ。
モーリッツの捜査の様子を基本に、
話が進むが、ハンナが所々で登場して、
捜査を妨害されたと感じたモーリッツをいらだたせる。
モーリッツとハンナのそれぞれの人生が、
少しづつ語られて、
捜査の進展とともに
二人が抱える事情が分かってくる。
そして二人の関係や距離が、
徐々に変化していく。
できればこの二人の関係をもっと描いてほしかった。
ハンナがもっと捜査に絡んで来たらおもろくなったかな・・・、
と少し物足りなかった。
死体を発見した後にも、
村に滞在していたのだから、
勝手に真相を探ろうと動き回ってもよかった。
家族の秘密とか村の伝説とか、
隠されていた暗い過去が明らかになる感じが、
横溝正史の作品をイメージさせた。
殺された女、エリーザベトの両親、兄、弟、義理の姉、
幼馴じみの男、その妻、親友の女。
限られた人間関係の中で話は進んでいくが、
それぞれの人物の形があまり浮き上がってこなかったのが残念。
支配的で弟ばかりを溺愛する母と、
その母に従順な父。
その関係はなかなかよかったと思うが、
そのほかの親子関係や幼馴染の関係、
親友の関係があまり書ききれていないように思った。
真相が明らかになっても、
あまりしっくりくる感じはしなかった。
特別な埋葬法とか、知らなかったことが書かれているところは
興味深かったが、
自閉症とか、サヴァン症候群とか、
どこかで見たような印象。
真相が明らかになるまでの記述が長すぎるし、
事件の発端となった時代の回想とか記述が
もう少しあってもよかった。
全体的にバランスが悪く感じた。
小村の閉鎖的で排他的な共同体の中で、
事件の真相を追い求めるモーリッツの姿には、
惹きこまれるものがあった。
飲み屋のマスターや老婦人など、
もっと物語に絡ませると魅力が出ていたんじゃないかと
想像しながら読み終えた。
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