投稿日:2013-11-17 Sun
「蔵書の苦しみ」岡崎 武志 著
本、特に古本の蒐集を趣味にしている人の、本の整理や所蔵に関して書かれている本。
たくさんの本を持つことがいかに大変なことかがわかる一冊。
![]() | 蔵書の苦しみ (光文社新書) (2013/07/17) 岡崎 武志 商品詳細を見る |
著者の書評家でライターの岡崎武志さんは古本マニアで、
相当の蔵書の持ち主。
本の蒐集に取り付かれて、
部屋のありとあらゆる場所を本で占領されている人々の
苦しみを有名・無名、新旧、いろんな人のエピソードを紹介している。
著者によると、本は知らないうちに増殖し、
場所を確保してもすぐにいっぱいになり、
徐々に生活のスペースまで侵食するようになるとのこと。
さまざまな古本マニアが登場するが、
本が多すぎて、寝る場所以外はすべて本がおいてあり、
積み上げた本が地震で倒れてきて危険な目に遭っている。
膨大な本を火事で失う様子が、
意外と美しいというエピソードや、
新築した家に窓を作らずに壁中に本棚を作りつけた、
マニアには垂涎の家の話も登場する。
あとがきにもあるが、
いろいろな蔵書の苦しみの話が出てくるが、
そのすべてが一種ののろけや自慢話としか思えなかった。
それでもとってもうらやましく感じる。
それほど熱中できるものを持てるなんて・・・。
これ以上本を増やしたくない人は、
この本は読まないほうがいいだろう。
なぜなら、蔵書の苦しみと一緒に、
さまざまな本も紹介されていて、
読みたくなる本がたくさん出てくるから・・・。
著者の文章が単純に好きだ。
軽快で読んでいて疲れないし、
相当な知識を持っているはずなのに、
ひけらかす感じがなく、
読者と目線の感じが好感がもてる。
新刊ばかりを注目していたが、
古本もたまには読んでみようと思ってしまった。
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投稿日:2013-11-10 Sun
「大統領オバマは、こうしてつくられた」ジョン・ハイルマン、マーク・ハルペリン著
日暮 雅通訳
![]() | 大統領オバマは、こうしてつくられた (2010/09/07) ジョン・ハイルマン、マーク・ハルペリン 他 商品詳細を見る |
この本を読む目的は、サラ・ペイリンの副大統領候補としての騒動について
詳しく知ろうと思ったことがきっかけ。
WOWOWで放送されたサラ・ペイリンのドラマがあまりにも面白すぎて、
原作とされる本書を読んでみようと思った。
しかしながら、サラ・ペイリンについては後半の一番最後のほんの少ししか
記述がなかった。
それでも、大統領選挙がアメリカでいかに重要なイベントなのかが
よくわかった。
ボリュームがすごいので、読む方も相当の気合が必要だ。
高所得者から低所得者まで、白人・黒人・ヒスパニックなど、
アメリカの全国民が候補者ひとりひとりを品定めするがごとく
見極めるのが大統領選挙。
本書の2/3は民主党の大統領予備選挙に割かれている。
史上まれにみる接戦だとされる、オバマとヒラリークリントンの
民主党候補指名の戦い。
政策の違いを互いに攻撃したり、矛盾や過去の発言を批判したり、
それはものすごい戦いというのがよくわかる。
今でこそオバマは大統領して活躍しているが、
当初はまったく実績のない上院議員で、
大統領にはほど遠いとされていたのがわかる。
実績のないオバマが弱点であるのだが、
前向きで活動的で、何よりそのスピーチのすばらしさで、
有権者だけでなく、多くの上院議員も魅了してしまう。
一方、ヒラリーは女性候補者で、
上院議員としての実績もあり、
夫が元大統領で一連の不倫が問題になったときも、
夫の裏切りに耐えながらも、
夫を支え続けた人物として抜群の知名度が強み。
しかし、その夫が元大統領という事実が弱みでもあり、
ブッシュ政権のイラク戦争を支持していたことも、
批判にさらされた。
ヒラリー優位という当初の情勢から、
少しづつオバマが支持を集めだし、
やがてヒラリーと拮抗し、
ついには民主党の候補者として指名されるのだが、
それも順調な戦況だったわけではなく、
各州の予備選で勝ったり負けたり、
シーソーゲームのよう。
本選挙では、マケインを圧倒して大統領になるオバマ。
マケインの主な敗因はサラ・ペイリンだと思っていたが、
マケイン自身にも原因があった。
リーマンショックでのオバマの勢力的な行動に対し、
受身で問題を解決しようとしないマケイン。
大統領になりたいという意欲や情熱が、
オバマにくらべてまったく感じられない。
それでもサラ・ペイリンが敗因の一つなったのは
間違いない。
共和党の支持者でも、
マケインが死んだらサラ・ペイリンが大統領になると事実で、
オバマを支持する人も多くいたようだ。
あれだけ批判しあい、
熾烈な戦いをしたヒラリーを、
重要ポストの国務長官に起用しようと
ヒラリーに申し出るオバマ。
当初は断ろうと思っていたヒラリー。
オバマはヒラリーがアメリカや世界の改革にとって、
いかに必要かを話し、説得する。
戦いの裏でヒラリーを尊敬し、
政治家としての力量を認めていたオバマと、
それにこたえるヒラリーについ、感動してしまった。
複雑で難しい大統領選挙の様子を、
とても読みやすく、ドラマティックに描いている。
しかし、ビル・クリントンの口にすっぱいものがこみ上げたとか、
ミシェル・オバマの思いとか、
本人しか知りえないようなことまで書いている。
もちろん、取材しているとはいえ、
少し割り引いて読んだ方がいいのかもとも思った。
次回のアメリカの大統領選挙はどういうことになるのか。
ちょっと楽しみになった。
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投稿日:2013-11-06 Wed
「教場」長岡弘樹 著
警察官を目指す人のための警察学校が舞台の連作短編集。ある意味、
警察小説の一種といっていいかもしれません。
![]() | 教場 (2013/06/19) 長岡 弘樹 商品詳細を見る |
教場とは警察学校の教室とか授業される場所の意味。
警察関係者以外はほとんど知ることのない、警察学校を取り上げて、
さまざまな物語に仕上げている。
警察学校を志望する若者の動機を知るだけでも、
いろんなドラマが隠されているんじゃないかと
わくわくしながら読み始めました。
実際の警察学校を取材して書かれているのだろう。
年齢や経歴がさまざまな人間が警察を目指している。
幼少時に警官に世話になり、警官を目指す者。
大事な人を亡くし、その事件を捜査しようと警官を目指す者。
物語ではいろいろな人間が登場するが、
だいたいの傾向として、同期や先輩・後輩の足を引っ張り、
貶めようとする結末にちょっとがっかり。
後味が悪い物語が多かったと思う。
閉鎖空間で競争させられると、
自ずとこういう風になるのかも知れないが、
それでももっと違った毛色の物語もほしかった。
警察学校を舞台にそこで学ぶ学生の物語なのだが、
そこに裏の主役として毎回登場するのが、
臨時教官としてやってきた風間。
前面には出てこないが、学生の一人を情報屋にして、
自分が受け持つ学生たちの動きを把握している。
不気味な存在として書かれているが、
その分、いまひとつせまってくる感じがなかった。
生ぬるい感動の話を作り出せるほど、
警察学校はやさしい場所ではないのだろうが、
これ程、悪意に満ちている場所ではないと思ってしまった。
読んでいてちょっと想像してしまったのは、
柳広司著「ジョーカーゲーム」。
不気味な存在として裏の結城を浮かび上がらせる感じに、
この本を想像してしまった。
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投稿日:2013-11-04 Mon
「想像ラジオ」いとうせいこう 著
芥川賞の候補にもなった評判の小説。想像ラジオというタイトル以外、
予備知識はまったくないまま読みました。
![]() | 想像ラジオ (2013/03/02) いとう せいこう 商品詳細を見る |
単純にたのしめるような作品ではなかった。
しかし、素通りするにはあまりにももったいない作品だと思った。
想像ラジオ。
冒頭からラジオDJ・アークの語りが延々と続く。
ちょっとその語りがあきてしまったので、
断念しようかと思ったが、
想像ラジオやDJアークの詳細がわかってくると、
胸にぐっとくる。
前半でその詳細はわかるが、
ネタバレになるので、
知りたい方はぜひ読んでほしいと思う。
人が死ぬこととはどういうことなのか。
人と永遠に別れることの意味。
いろいろと考えさせられた。
それから、日本は災害の国だということを改めて考えさせられた。
毎年のように災害がおき、
その犠牲になる人間がいること。
大勢の人間が死んでしまうこと。
災害が頻繁に起きることが、
この国の人間の人格形成にも
大きく関わっているんじゃないかとさえ思える。
また、社会の仕組みも
災害が起きることを前提に作らなければならないんじゃないかと思った。
一番興味深かったのは、
東日本大震災の被災地にボランティアに行ったグループでの
人助けに対する葛藤。
単純にボランティアに行くにも覚悟が必要なんだ。
ボランティアが終われば帰る場所があり、
快適な自宅での生活に戻るんだろうという被災者の言葉に、
どう答えれば良いのか。
安っぽい同情が逆に残酷に被災者をキズつけるんだ。
DJアークの選曲で
想像ラジオでかかる曲や音楽のひとつひとつをBGMに
この本を楽しむのもいいかと思った。
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