投稿日:2013-10-15 Tue
「藝人春秋」水道橋博士 著
タレント・水道橋博士が仕事で出会った人々についてつづった、エッセイ。バラエティーに富んだその人選と書かれている人のブッとんでいる言動に、驚きながら楽しんで読みました。
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藝人とは言いながら、知識人やアナウンサー何かも登場する。
水道橋博士が人物として魅力を感じ、
惹かれた人をユーモアを交えた文章で
エピソードなんかを紹介している。
面白かったのは2回登場する、元ブルーハーツの甲本ヒロト。
博士とは、通っていた中学校が同じで、
当時はそれ程親しくなかったらしい。
有名になってからの再会と、
中学からこれまでの互いの人生を振り返る様子。
何ともしみじみして味わいがある。
博士が、ビートたけしという藝人に影響をうけ、
いかにして現在にいたるかの経歴も面白かった。
弟子入りを考えて、岡山から上京するも、
なかなかその願いがかなえられず、
数年もすごしたというエピソードは、
人間味があって読んでいて安心してしまった。
突き進むようにたけし軍団に入ったと勝手に想像していたので・・・。
ブルーハーツ世代の人間としては、
甲本ヒロトの考えに触れられるので、
それも興味深く読んだ。
特に、ロックに魅了されたきっかけとか、
立川談志に惹かれている様子なんか・・・。
ポール牧についての文章も面白かった。
どことなく胡散臭いような独特の雰囲気をだしている
昔ながらの藝人というイメージを持っていたが、
自殺未遂を起こしていたりいろいろと苦しんでいたようだ。
最期はやはり自殺してしまうのだが、
若手の藝人の博士をかわいがっている様子は、
勝手に人柄を想像してしまった。
悩める十代を経て、
たけし軍団に入り、
下積み生活の後に、
テレビを中心に大活躍している水道橋博士の姿は、
こちらに勇気を与えてくれる。
挫折や失敗もある人生だとは思うのだが。
雑誌連載をまとめたもので、
書かれているのが2000年とか2001年とかの内容なので、
ちょっと今読むと古さを感じた。
その後の話として、各章に現在のエピソードを挿入はしているが・・・。
また一冊まとめて読むと、
ちょっとバランスが悪い印象を持った。
単純に面白がって書かれている人物と、
尊敬と愛情を持って書かれている人物とのギャップとか、
唐突にいじめについての文章(藝人は出てくるが)がでてくるあたりとか。
あとがきで書かれている児玉清さんとのエピソードは、
テレビの裏側と児玉さんの人となりをよくわかるようで、
とても興味深く読んだ。
充実した読後感で満たしてくれた。
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投稿日:2013-10-13 Sun
「タモリ論」樋口毅宏著
「タモリ論」だから、もちろんタモリについて書かれているんだけど、
主に「笑っていいとも」でのタモリ論といってもいい。
「笑っていいとも」論とも言えるし、「お笑いBIG3」論と言ってもいいような内容。
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著者は「タモリ=絶望大王」説なるものを本書で披露している。
タモリブレイク(本書によるとタモリに惹かれること)している人間としては、
なんとなく納得してしまった。
タモリは他のタレントとは明らかに世界観や雰囲気が違っている。
「騒げば面白くなると思うな」
いいともに出ていた若手のタレントにタモリが言った一言。
昨今のバラエティーにありがちな無理に盛り上げるために、
タレントが大声をあげるあれを一刀両断していた。
それを見ただけで、タモリは他のタレントとは違うと感じた。
急激にはハマらないが、
何度も見たくなるような普通さ。
その普通なやりとりや会話の中にある、
何ともいえない人格の奥行きやアブノーマルな空気。
人生についてほとんど期待せず、
自分なりの価値基準をしっかりと持っていて、
流行なんかには簡単に流されない感じ。
常々タモリは目標を聞かれると、
「現状維持」といっていた。
常に右肩上がりの成長を目標とし、期待する世間を、
静かにたしなめるように。
ビートたけしや明石家さんまについても、
本書は書かれている。
それも、なるほどと感じたり、
へぇーと著者の知識の多さに感心したりした。
特にビートたけしの映画や演技についての記述は、
読みどころのひとつと言っていいかも。
今まで語られていることに触れながら、
自分なりの考えを披露している。
俳優として、
泉谷しげると内田裕也の演技をパクり、
映画は若き日に見まくったというフランス映画が
ネタ元になっている、など。
パクリというと聞こえが悪いが、
それを一級品にしてしまうのが一流の表現者なのだ
とも著者は言っている。
パクリの条件まで示していて、
結構考えさせられる。
もっとしっかりと北野映画を見ようと思ってしまう。
さんまフリークとしては、
もっとさんまのすごいところを書いてほしかったな。
「いいとも」を降板した理由とか・・・。
フジテレビはここのところ、
視聴率では多局に対して振るわないそうだ。
そして「いいとも」の視聴率も裏番組に
負ける日が多くなったそうだ。
そのためか、
「いいとも」終了説がネットでは話題になり、
「いいとも」の構成が頻繁に変わっている。
テレフォンショッキングから友達紹介がなくなり、
全コーナーにでていたタモリが、
最近は出てこなくなった。
どうせテコいれするなら、
おじさんに成り果てたレギュラーのスマップを
嵐に入れ替えればいいものを。
(前から結構いいアイデアだと思っていたら、著者も同じようなことを書いていた)
いずれにしても「笑っていいとも」もいつかは終わる。
頻繁にタモリに会えるのももうすぐ終わるかもしれない。
その日はフジテレビの終焉の日であり、
テレビのバラエティーの終焉であるように思える。
(著者も同じようなことをかいていた)
これからは、一日一日を噛み締めるように、
味わいながら「笑っていいとも」を見ようと思う。
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投稿日:2013-10-07 Mon
「死者の声なき声」フォルカー・クッチャー著
酒寄進一訳
![]() | 死者の声なき声<上> (創元推理文庫) (2013/08/21) フォルカー・クッチャー 商品詳細を見る |
映画の撮影現場で起きた事故を捜査する、
ベルリン警視庁殺人課警部、ゲレオン・ラート。
その鋭い感覚で事故の手がかりを追って、
ひとりで捜査を進めるラート。
組織を無視した行動をやがて幹部陣から叱責される。
同僚との間の暴力事件。
容疑者とされる人物からの個人的な捜査。
かつての恋人との再会。
父の友人で地元の政治家の脅迫事件。
など、事件捜査以外のことにも頭を悩ませながら、
事件の核心へとラートは迫っていく。
警察官の一員でありながら、
個人プレーばかりのラートなので、
ほとんどハードボイルド小説を読んでいる感覚。
著者もおそらくは意識しているのだろう。
興味深かったのは、
トーキーへと変わる時期の映画業界の様子。
今や3Dへと進化している映画。
サイレントからトーキーへと当然、
すんなりと進化しているかと思いきや、
トーキーは映画芸術の冒涜と反対する人がいる記述には驚いてしまった。
当時の事情を調べて書いているのだと思うが、
映画が進化している過程で、
こんな試練に出会っていたとは勉強になる。
またスタジオの建物自体も、
無声映画のときは、音は関係ないので、
ガラス張りの温室のようなつくりだったが、
トーキーでは雑音が入らないように、
壁の厚い堅牢な建物となり、
その関係で日光が取り入れられないので、
多くの照明機材が必要となったというのも興味深かった。
事件の解決のかぎになるものに「楊桃」ヤンタオ
という果物が印象に残った。
まぁ、キウイフルーツのことなのだが、
当時としてはめずらしい存在として登場している。
中国原産のこのフルーツが流通している場所として、
中国人のコミュニティーがすこし出てくる。
あとがきにもあったが、
ベルリンの国際都市の側面を描いているが、
個人的にはもう少し謎めいた感じがほしかったな。
1930年のベルリンの小説なのだが、
まったく違和感なく現代の小説として読んでしまった。
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