投稿日:2011-08-22 Mon
「伏 -贋作 里見八犬伝ー」桜庭 一樹 著
「私の男」以来の著者の本。
舞台が江戸で、伏と呼ばれる犬人間の怪物の数奇な運命の物語。
著者にとっては、初めての時代劇なのかも。
伏の知識を少しだけ仕入れて、読み始めました。
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江戸で伏に惨殺される人が続出し、
伏退治に報奨金を出すとお触れがでる。
市井の町人にまぎれている伏を退治しようとする狩人が多く出てくる。
その狩人の中に、江戸で暮らしている兄を頼って、猟師の浜路が田舎からでてくる。
女にしては考えられないくらいの身体能力と持ち前の感の良さで、
次々と伏を見つけて、追いつめて、退治する。
その様子が、次の瓦版に克明に載っている。
浜路の後をつけていた、曲亭馬琴の息子、冥土が書いていたものだった。
伏が誕生するにいたったエピソードとか、
伏の仲間たちのこれまでどうやって生き延びてきたのか
といった感じで、構成を考えている。
半分人間で、半分犬の伏
伏に同情しながらも、人間に害を加えるなら捕らえるしかない。
追うものと追われるものの人情の交わり。
逃亡と追跡による息もつかせぬ展開。
現代はありえないであろう、自然的が現象。
それらがめくるめく展開で楽しませてくれるのかなぁ。・・・っと
勝手に想像していたが、
それほどではなかったかな。
めし屋のおかみの人柄とか、兄妹のやりとりとか、
コメディーのドラマをみているよう。
大分気楽に楽しめる読み物っていう感じ。
めくるめくような展開を期待していただけに、
ちょっと求めていたものが違うので面白くなかった。
伏の数奇な運命もなにか中途半端。
伏というもの自体もいったいどういうものなのかも
あまりイメージできなかった。
「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」「のぼうの城」なんかに影響をうけて
著者も時代劇を書いてみようとおもったのか。
単純な冒険物語とかチャンバラのアクションを期待していると
ちょっと肩透かしを食らう感じ・・・。
後半になるにつて、長さを感じ、物語をただただ消化するという感じだった。
出だしは結構興奮していただけに、残念な内容だった。
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投稿日:2011-08-05 Fri
「雑司ヶ谷 R.I.P」樋口毅宏 著
「民宿雪国」があまりに面白かったので、
この本のサイン本を買いに、
“イケジュン”こと池袋ジュンク堂まで行きました。
「民宿雪国」とは一味違った小説でしたが、
過激さは、50%増量って感じでした。
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感想を一言で表現するなら、
「大満足」あるいは「腹いっぱい」
新興宗教の教祖の女が死んで、
その跡目を継ぐ息子、太郎と
それを阻もうとする一団の陰謀の物語。
同時に教祖、大河内泰が宗教の教祖として
成功するまでの紆余曲折の人生も描かれている。
戦後の日本で、新興宗教が人々の間に
どう浸透していったか。
実際もこんな感じだったんだろうなと
現実の日本を考えながら読んだ。
一番の読みどころは、
新興宗教の教祖を継いだ太郎と
その周りに群がってくるいかがわしい連中を
太郎が軽く扱うところ。
次々と出てくる人間が現実の世界を想起させる
なんともいかがわしい人物ばかり。
コウ。
「メガネをかけた小太りの男が、脂ギトギトの顔面をテラつかせ・・・・
小便くさいアイドルグループでひと山当てて、最近も秋葉系の
ティーングループでしこたま稼いでいた」
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サル成金。
「頭にバンダナを巻いた、目玉がギョロリとした男で、
『猿の惑星』をモチーフというよりまんま拝借した
トレードマークのブランドで田舎のガキから金を巻き上げていた」
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ちょんまげ。
「丸眼鏡で顎下にちょびヒゲをはやして、ちょんまげを結った自称芸術家だ。
だからって絵が特別上手いわけじゃない。
それにこの面のどこがアーティストだというのだ」
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その他いろいろと実在の人物を連想させる記述は、
読んでてわくわくした。
挑発的で過激。
その時の心境は、
世の中に何の影響も及ぼさない小市民だからこそ
心の底から「ざまぁみろ」的な怒声を浴びせていた。
新教祖として絶大な権力を手にした太郎が
街をパレードして、下半身を露出する場面は、
あまりにも下品で、笑いが止まらなかった。
ここまでやるのか・・・。
歴史・政治・経済・スポーツ・芸能。
日本のあらゆる分野を
読者を楽しませながら容赦なく批判していて、
それが何とも小気味いい。
普段感じる日本人の嫌な部分、
マスコミで祭り上げられる人物に感じる違和感を、
絶妙に取り上げている。
そのすべてを理解できたかは疑問だが・・・。
これだけぶっ飛んでいる小説は、
戸梶桂太さんの小説以来。
歴史に残るかどうかはわからないが、
間違いなく読んで損はない本だと思う。
ちなみに本書のあとがきにはこうあります。
この作品はフィクションであり、
実在のいかなる組織・個人とも一切関わりのないことを付記いたします。
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