投稿日:2010-03-22 Mon
福島 智 著「生きるって人とつながることだ!
-全盲ろうの東大教授・福島 智の手触り人生-」
NHK 「爆笑問題のニッポンの教養」に登場した著者が印象に残っている。
そして、本書にも書かれている、「徹子の部屋」に登場した著者の姿も偶然見ていた。
確かに目が見えないような感じだったが、普通に話していたので耳が聞こえていないようには思えなかった。
![]() | 生きるって人とつながることだ! (2010/02/20) 福島 智 商品詳細を見る |
著者は全盲ろう者。
つまり、目も耳も完全に機能を失っている。
9歳で失明。18歳で聴力を失った。
本書は、今まで新聞や雑誌に発表したエッセイをもとめたものだ。
少年期から現在まで、著者がどんな人生を送ってきたかがわかる。
関西人特有の著者の飾らない性格に好感が持てる。
前向きで、率直で、物怖じしない。
少年の時の思い出が鮮やかに描かれている箇所が印象的
明石海峡を高台から眺めていた様子。
草と土の匂い。
トマトの食感と味。
後半に載っている夫婦交代のエッセイも面白かった。
奥さんの立場から見た著者の性格やエピソードも興味深い。
買い物が大嫌いだとか、暗闇の中で冷麺を食べる話とか・・・。
生きるって人とつながることだ。
著者は、何をするにも基本的には誰かの手助けを必要とする。
それがタイトルにつながっている。
しかし、それは決して障害者だけに当てはまるものではない。
人は誰しも、人とつながらないと生きていけないはず。
都市化が進み、人間同士の関係が希薄になり、
一人で生きていけると勘違いして日本人には痛烈なメッセージに響く。
まだまだ障害者への偏見と差別がある社会。
そして自分の中にもある偏見と差別を見つめるいい機会になった。

生きるって人とつながることだ!
- 福島智
- 素朴社
- 1680円
書評

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投稿日:2010-03-07 Sun
「殺す者と殺される者」ヘレン・マクロイ著
務台 夏子 訳
本書は読者の復刊リクエストに応えた伝説の名著の新訳版だそうです。
恥ずかしながら著者のことはまったく知りませんでした。
原作の出版されたのは1957年。
古いからといって決して軽くあしらえるような一冊ではありませんでした。
![]() | 殺す者と殺される者 (創元推理文庫) (2009/12/20) ヘレン・マクロイ 商品詳細を見る |
≪ここからはネタバレがあります≫
内容からいうと、いまでは二重人格ものの小説はやまのようにあるので、
真実が明らかになっても、とくに驚かなかった。
裏の裏を読むようになってもいるので、途中からよめてもいた。
それでもこの本に惹きつけられずにはいられなかった。
冒頭から文章のどこからともなく立ち上がってくる違和感がこころを捕らえる。
なにかが起こっている。何かが起こるかもしれない。
そんな予感がさざなみをたてて、読んでいるこっちは落ち着かない。
真実が明らかになるところは、予想していたとおりだったが、
それでももう一人の自分が言う(書く)一言は、衝撃的だった。
初恋の女性にこころを寄せるヘンリー。
シーリアの会えることを楽しみにふるさと帰る。
しかし、そこでも、何か漂っている不穏な感じ。
ラストは、切なくなってしまう。
人間の心理や、人格、記憶なんかについて書かれているところは
読みどころのひとつ。
いろいろと考えさせられる。
自分は本当の自分なのか。
自分は自分のことを本当に知っているのか。
普通に生活していては、見過ごしてしまいそうな自分というものを
改めて考えるいい機会になりました。

殺す者と殺される者
- ヘレン・マクロイ/翻訳:務台 夏子
- 東京創元社
- 903円
書評/ミステリ・サスペンス

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