投稿日:2010-02-21 Sun
「この世界の片隅に」こうの史代 著
こうの史代さんの本を読むのは、「夕凪の街 桜の国」につづいて2冊目です。
久しぶりの漫画で少し戸惑いながらも、漫画ならではの表現に吸い込まれました。
![]() | この世界の片隅に 上 (アクションコミックス) (2008/01/12) こうの 史代 商品詳細を見る |
上・中・下の三冊の作品です。
戦時下の広島と呉を舞台に、年頃の少女のすずが結婚して夫の家族と暮らし
敗戦をむかえるまでを当時の生活の様子を交えながら描きます。
戦争と聞いただけで何か敬遠しそうだけど、
ただただ悲惨というよくある反戦の物語だけで終わっていないところが
この作品のすごいところ。
すずと結婚する夫の、そして義父・義母、義理の姉との暮らし。
ふわふわとして少しおっとりしているすずの性格は、決して順調ではない新しい環境で、
まわりの人を和ませてしまう。
読んでいるこっちも和んでしまう。
最初は怖い存在だった義理の姉が、やがてやさしくなり、すずを受け入れるようになるのは
面白いしグッとくる。
絵が得意なすずは時に絵で人と仲良くなったり、また、絵で憲兵ににらまれたり。
山あり、谷ありの人生や日々のくらしを情感たっぷりに描いていて、読んでいて心が洗われる。
慎ましい庶民の生活や暮らし知恵や節約の様子。
戦時下でも、人々の暮らしはあり、そこには笑いやゆとりもあった描いている。
黒や灰色で塗りつぶしているような戦争もののドキュメンタリーより、
よほどこの作品のほうが真実を描いていると感じた。
人の愚かさと人の尊さ。
生々しく卑しく感じるほどの生と、すぐ間近にある死。
否応なしに人生について考えてしまう。
わたしのこの世界で出会ったすべては
わたしの笑うまなじりに
涙する鼻の奥に
寄せる眉間に
ふり仰ぐ頸に宿っている
マンガ独特の表現に魅了されるし、
読みどころ満載で、各方面から絶賛されているのも納得の作品。
誰にでもオススメできる名作です。

この世界の片隅に(上中下巻)
- こうの史代
- 双葉社
- 680円
書評/歴史・記録(NF)

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