投稿日:2010-01-17 Sun
アントニー・バークリー著「ジャンピング・ジェニィ」
帯にはこうあります。
絞首台に吊るされた藁人形が、女の死体に入れ替わり―――
探偵小説黄金期の収穫
バークリー中期の傑作、初文庫化!
簡単にいえば、ミステリーの名作です。
ジャンルがはっきりしているだけに、じっくり腰をすえて読めました。
![]() | ジャンピング・ジェニイ (創元推理文庫) (2009/10/29) アントニイ・バークリー 商品詳細を見る |
名前は、なんとなく聞いていましたが、著者の本を読むのは今回が初めてでした。
主人公は、シリーズで登場しているという、小説家のロジャー・シェリンガム。
ロジャーは、知人のパーティに参加する。
参加者は、それぞれ有名な犯罪者や殺人者に扮装している。
余興の一つとしてテラスには、藁人形の死体が3体するされていた。
時間が過ぎ、深夜に行方がわからなくなった女、イーナを探すと、
藁人形の代わりにテラスで首を吊っている状態で発見される。
彼女はパーティーの主人、ロナルド・ストラントンの弟、
デイヴィッドの妻で、その言動や振る舞いでパーティー参加者の全員から疎まれていて、
自らも自殺をほのめかすことを言っていたために自殺だと思われたが・・・・。
冒頭、事件が起きるまでは、登場人物と仮装して人の名前が出てきて、
正直ややこしい。
しかし、その後のイーナが登場しているとことはとても興奮。
最初の読みどころのひとつ。
何せ、みんなに嫌われているだけあって、どんなにいやな女かが描かれている。
これは、死んで当然って誰もが思うはず。
見事っていいたいくらいの嫌な女具合ですよ。
その後、死体が発見されて、自殺か他殺を考えていたロジャーが、
現場であることに気づいて他殺だと確信する場面は、
背筋が凍るほどゾクゾクした。
個人的にはここもよみどころだと思います。
後半は、ロジャーが犯人だと思った人間をかばう行動にでて、
それが自分の首をしめることになったり、
結構、コメディー色が強い。
その後、捜査や検死審問で、
ロジャーはいかに自殺だと思わせるかでいろいろと偽装工作をする。
これもなんかドタバタコメディーを読んでいるようだった。
しかし、それだけで終わらせずに、
ラストまでしっかりと楽しませてくれる。
パーティーとか仮装とか重くならずに、凄惨な殺人ではなく、
あくまでエンタテイメントとして読者を楽しませようとする著者の精神を感じる一冊でした。
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ジャンピング・ジェニイ
- アントニイ・バークリー/翻訳:狩野 一郎
- 東京創元社
- 966円
書評/ミステリ・サスペンス

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投稿日:2010-01-03 Sun
「水時計」 ジム・ケリー 著 玉木 亨 訳
有能な新聞記者のドライデン。
凍りつく川から引き揚げられた車のトランクから見つかった死体の事件と、
翌日大聖堂の屋根から見つかった白骨化した死体の事件を調べるうちに、
未解決のガソリンスタンド強盗とつながりを見つける。
そして、自分と妻が遭遇した交通事故の真相も明らかになる。
![]() | 水時計 (創元推理文庫) (2009/09/05) ジム・ケリー 商品詳細を見る |
舞台は、イギリスの実在の地方都市、イーリー。
11月1日からの一週間の物語。
イギリスらしい薄暗く、寒々しい雰囲気がさらに物語を深くしているように感じる。
交通事故で植物状態になり、入院した妻を見舞いながら、ドレスデンは記者として取材をする。
新聞記者の実態(まぁイギリスのだが)が、描かれていて、それがすごく興味深かった。
取材対象者とのやりとりを、談話として記事にどうそつなくまとめるかとか。
それから印象に残ったのは、イギリスも他民族国家だということ。
イメージではわかるけど、この本で改めて実感させられた。
さまざまな移民がイギリスで生活していることも、物語に絡んでくる。
移民との不和みたいな問題、イギリスでは深刻なのかと勝手に想像してしまった。
(ましてや、移民の人が頑張って一財産築いてもともといるイギリス人よりお金持ちになったら・・・。)
物語は、死体の発見がきっかけでさまざまな人間が絡んだ事件の時計がふたたび動き出す。
警察や政治の人間も登場してきて、事件のもつれた糸がなかなかほどけていかない。
それでも、取材をするうちに真相へと近づいていくところは、ゾクゾクする。
水時計というタイトルは、あとがきで解説の人が書いているようにいろいろな解釈ができるが、
個人的には、水が氾濫して街の飲み込んでいくさまを表現しているように感じた。
それにしても、イギリスが舞台の本によく出てくる沼沢地(フェン)というのは、どういうところなのだろう。
日本でいう湿原のようなところなのか。
そこは、やはり人が住むにはあまり向かない、誰も行きたがらないところなのだろう。

水時計
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