投稿日:2008-04-28 Mon
サラ・ウォーターズ著 「夜愁」2008年版「このミステリーがすごい」、海外部門で18位にランクイン。
過去の2作品から比べるとランクダウンしている。それだけ、ミステリー色がなくったという証だと思う。だがしかし、面白くないかというとそうでもなかった。
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まだ読んでいない人には、ぜひおススメしますが、過去2作、「半身」や「荊の城」とはまったく違っていました。
著者の魅力は決して失われていないんですが、ミステリーの要素が少なくなっていた。
まぁ、平たくいうと純文学っぽい感じ。
だけども、物語を堪能しました。
前作までの、読者を驚かせるサプライズはないものの、人間の濃密な関係や、繊細な感情のゆれなんかはすばらしかったです。
物語は、第二次世界大戦中から、戦後にかけての話なのだが、時間をさかのぼって描いていく。
しかも、登場人物それぞれの物語をさかのぼるのだ。
ケイ
ジュリア
ヘレン
ヴィヴィアン
ダンカン
レジー
フレイザー
誰と誰がどう出会い、何をして、どう感じたのか・・・。
丁寧に描いています。そして、どことなく謎めいていて先へ先へと誘いこまれます。
著者はレズビアンを好んで描くが、この作品にも描いている。しかも、もっと濃密な人間関係として・・・・。
戦争中という特別な時代を通り過ぎて、平和の時代へと進むそれぞれの人生。
最初、人間関係がわかりづらくて、いつもそうするように簡単な人物表を作って読みました。
そのうちなれるんですが・・・。
著者の文章はなんとも味わい深くて、読んでいるうちにいろいろと思索に耽ってしまってなんども同じところを読むことが多々ありました。
表現もいいし、文章も、なんと言うか気品があって、抑え気味でほんとにホレボレする。
読みどころはたくさんあるけど、やはり恋する人間の視線や感情の描写がすばらしくてゾクゾクしました。
ちょっと、引用します。
ヘレンがジュリアの鎖骨に向かって手を触れないように、空中に置く場面。
ジュリアに何をしているのと気だれたヘレンがこうこたえる。
「あなたを感じてるの」
「あなたの体温が立ちのぼるのを感じる。あなたの生命を感じる。あなたの肌色のどこが薄くて、どこが濃いのかを感じる。どこがまっさらで、どこにそばかすがあるのかを感じる」
このほかにもある、恋人同士の場面はどれもよかった。
ヘレンとジュリアとケイの女の恋愛。
ヴィヴィアンとレジーの不倫。
かつて監獄に入っていたダンカンとフレイザー。
それぞれのドラマが戦後の空気や戦中の空爆とともに描かれて、とても印象的でした。
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投稿日:2008-04-20 Sun
D・M・ディヴァイン著「悪魔はすぐそこに」
久しぶりの本格ミステリー。
オーソドックスで、きちんとミステリーのつぼもおさえてた。
悪魔はすぐそこに (創元推理文庫 M テ 7-1)

悪魔はすぐそこに
- D.M.ディヴァイン、山田 蘭
- 東京創元社
- 987円
書評/ミステリ・サスペンス

著者は、マニアには結構有名な人らしいです。
だから、安心して物語に浸りました。
大学という特殊な空間が独特な雰囲気を生んでいるね。
世間とはちょっと違った価値観がある感じ。
研究者と大学の職員。
大学の資金を不正に受け取っていた疑いをかけられて、免職処分が下されそうだった
大学教授が自宅でガス中毒で死んでいるのを、大学の職員が見つける。
やがて、大学教授の死は殺人とされて捜査がはじまる。
8年前に起きた、女子学生の堕胎手術失敗による死。
大学にとっては触れられたくないスキャンダル。
定番といえるような展開で、過去のこの事件がふたたび、悲劇を起こす。
読者をきっちりと欺くようにもなっているし、普通に楽しめる。
ひねくれている性格でだいたい犯人は想像がついたのだが・・。
犯人がだれかということよりも、人物造形に注目して読んだ。
多視点だから、いろいろな人間の内面が描かれている。
しかし、犯人だけはやっぱり輪郭がうっすらとしていたように思う。
読み終わったからいえるんだけど・・・。
普通に楽しめる娯楽作でした。
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投稿日:2008-04-19 Sat
細川貂々 著「その後の ツレがうつになりまして。」
自分もうつ病かも知れないと思って、前作を読んで病院に行く決心がついた。
病院にいくようになって思ったのは、うつ病になる人が多いんだということ。
心療内科のある病院はどこも大体、予約がいっぱいで一月も待たなければいけないところもあった。
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ほのぼのするシンプルな漫画で、あっさり読めてしまうんだけど、その内容は結構深刻。
この本で、心が救われた人が多いみたいで、それが大ヒットにつながったんだとおもう。
著者の夫がうつ病になり、その闘病の様子を漫画として描いている。
この本は、タイトルどおり前作のその後を描いている。
うつになった身としては、本当に共感できて、読みながら所々泣いてしまった。
何にもできない自分が、本当にこの世で必要ない存在だと感じてしまって、どうにかして楽になりたい
と思ってしまう。
人が大勢いるところにはいけなくなるし、家から外にも出られなくなる。
単なる怠け病かと思っていた。
薬に頼るのはなんとなく気がひけるのだが、でも、薬で治るのならそれでいいじゃないかと
割り切って病院に行って今はよかったと思う。著者とこの本に感謝。
かなり重症だった夫の症状は、軽くなっていって、未来への希望もすこし描かれている。
だけど、心の病気だから治ったとは判断しにくい。
あせらず、むりせず、すこしずつ・・・・。
うつ病を知るにはうってつけの本で、うつ病に悩む人にもオススメできる本です。
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投稿日:2008-04-17 Thu
いやー、すっかりはまってしまいました。「perfume」
この同じリズムとフレーズの繰り返し。
単純に、いい。
新しいような、遅れたきたような、なんともいえないセンス。
アルバムは1位をとったそうで・・・・。
納得です。いい曲いっぱいあるもん。
このテクノの音楽と、アイドルユニット。
完全にブレイクだー!
特にこの曲が気に入ってしまった。
「チョコレイト・ディスコ」
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投稿日:2008-04-12 Sat
斉藤守彦著 「日本映画、崩壊
~邦画バブルはこうして終わる~」
タイトルも、そして、装丁も何か狙いすぎって感じがしますが・・・。
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長年、映画雑誌で記者をしていたという著者が、現在の日本映画をあらゆる面から問題点を提起している。
かなり、ひきつけるタイトルなんですが、内容はというと・・・・。
それほどでもないかなって感じでした。
興行収入が増えて、邦画の占める割合が増えたけど、各地に乱立するシネコンがその理由で、邦画が熱いっていったって、ほとんどがテレビ局が製作にかかわっていて、もしテレビ局が手を引いたらどうなるかわからないし、劇場でポップコーンを売っている兄ちゃんはバイトだから、接客ができていないから、お客は離れていくだろう。
まぁ、そんなことが書かれてありました。
劇場のコンセッションのバイトの態度まで丁寧に取り上げているのにはちょっと笑ってしまった。
崩壊とはいったい何を意味しているのか。
質と量のどちらかということになるのだが、冒頭で興行収入についてのデータを取り上げていて、そのあと、作家性が失われていると嘆き、そして、後半はまた、映画人口について語る。
映画人口が増えていることを喜んでいるようにも思えないし、逆に良質の作品がでてきているとも言っていない。
ただ、悪いところだけとりあげて騒いでいるように感じた。
日本経済が不況の数年前、日経新聞が、ものが売れないとか、失業がどうとか、不況だ!不況だ!と不況の記事しか載せないときがあって、そのときは「日経不況」と揶揄されたと経済評論家が言っていたのを思い出す。
確かに著者の言うような事実はあると思うが、日本のほかの産業で何から何までうまく行っている業界があるのだろうか。むしろ、何かしらの問題とか課題を抱えている産業がほとんどだと思う。
だとしたら、わざわざ崩壊・・といわなくても、問題があることが普通な状態だと思うのだが。
全編に漂う、著者の斜に構えた姿勢にどうもなじめなかった。
それでも、参考になるところはあった。
映画に求めるものが、「感動」と「共感」であり、現在の観客はどちらかというと「共感」を映画にもとめていて、テレビの延長として映画を捕らえている。
それで、映画館も家でテレビをみるようい快適な空間を作らなければならず、シネコンが発展した。
製作より興行を重要視した映画会社が生き残ったとしているが、その先のどうすればいいかを提案してほしかった。
たぶん、今のこの流れはしばらく続くと思う。
著者のいうように当日の料金を一律1000円にすればいいし、複雑な配給・興行システムをもっと自由にしてもいいと思ったが・・・。
新しい試みや動きなんかも報告してほしかった。
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投稿日:2008-04-05 Sat
映画 「ブエノスアイレスの夜」“夜”ってだけあってなんとも暗い映画でした。
かなり重々しい空気が流れていますよ。
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父の病気の知らせをうけてスペインからアルゼンチンの実家へと帰ってくるカルメン。
独身のキャリアウーマンって感じで、毅然として家族の久々の対面でもまったく愛想がない。
二週間の帰国の間だけ借りていたアパートに夜毎通うカルメン。
過去に受けた警察からの監禁などの精神ショックで、肉体的な接触を伴うセックスをできなくなっていた彼女は、その部屋で、依頼してよんだ娼婦や男娼のあえぎ声を聞きながら自慰をして、性的興奮を得ている。
偶然やってきたモデル見習いで男娼のグスタフをきになったカルメンは、次も指名して、官能小説のセックス描写を朗読させ、その声で自慰をする。
直接対面することなく、壁を隔てた特異な関係がしばらく続いたあと、グスタフはこらえきれずに彼女と直接対面して彼女を抱きしめて、求めようとする。
しかし、カルメンは戸惑い彼を拒む。
グスタフの突然の行動が気になるカルメン。
二人はそのうち、体を重ねるようになる。親子ほどの年の差を越えて愛し合う二人。
カルメンにとっては、本当に自分の心を癒してくれる存在をやっと見つけたようなおもいだったのだが・・・。
冷たいキャリアウーマンの仮面を脱がし、かくしていた女の部分をさらけ出させた男がグスタフだったのだ。
この事実が後半の悲劇へと続いていく。
前半は、隠微で、謎めいていて大人の雰囲気。
カルメンの冷たい表情は何かしら心に傷をかかえて、それを守ろうとしているようにみえてうまかった。
若いグスタフとの関係がうまくいったときに機嫌がよくなるところは、女のかわいらしさを覗かせていて、かわいらしかった。
簡単にいうと変態性欲。
でもカルメンの場合は、普通のセックスができなくて仕方なくそういうことになってしまったという悲しい事情がある。
他人の声や官能小説で興奮するというのは、まぁ変体の中級くらい。
タモリいわく、普通のセックスから遠く離れるほどその変態度は強まるということ。
たとえば、下着は当たり前として、その人の使っていたものだけで興奮しる人もいるらしい。
自分の頭のなかで、物語を組み立てて、その物語が性的興奮を呼び寄せるのだ。
何の話だよ。
ちょっと、脱線いたしましたことをお詫びします。
後半、意外な事実、なんとも皮肉な事実が明らかになり、二つの家族に大きなダメージを与えることになる。
この設定がちょっとできすぎな感じなんだけど、それでもラストに向けて惹きつけられた。
二つの家族が崩壊していくとともに、あらたな家族の関係が生まれかける様子。
ラストの二人の抱擁は何とも感動的でよかった。
暗いなかで、かすかな希望を予感させるシーンだった。
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