投稿日:2007-07-19 Thu
手塚治の初期の名作として、語り継がれている「新・寶島」しかし、その「新・寶島」はもう一人の作者と共同で作られたのをご存知だろうか。
今日の本は、「新・寶島」の作者から消された男。
酒井七馬の謎に包まれた人生に迫った評伝です。
中野晴行著
「謎のマンガ家・酒井七馬伝」
の感想です。
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「新・寶島」が出版された当時、手塚治はまだ無名だったそうだ。今からは考えられないが・・・・。
どちらかと言うと今は知る人も少ない七馬の方がマンガ家としては実績があり、関西のマンガ業界では重鎮のような存在だったらしいです。
その重鎮が、なぜ、「新・寶島」の作者から消されたのか。
その謎を取っ掛かりに、七馬の人生をたどっていく。
端的にいうと、手塚治と七馬との間で確執があり、復刊のときに手塚治がその名前を消したといわれている。
生前の手塚の発言からも、とても、共同で本を出しているとは考えられないほど、そっけないものだ。
七馬の最期は、孤独で電球で暖をとり、コーラで腹を満たしていたらしく、孤独なものだと考えられていた。
著者は、七馬に付きまとう悪いイメージを拭いさろうと、丹念に調べ、関係者を取材している。
その結果、孤独に死んでいったというのは間違いなのが判明する。
それと同時に、日本の戦後のマンガの発展とマンガ家の人生が明らかになるが面白かった。
戦後の七馬は、米軍軍人の似顔絵で糊口をしのぎ、出版され始めたマンガ雑誌での連載、その後、大ブームを巻き起こした紙芝居の作者となり、そして、新聞の教養マンガ、そして、始まったばかりのテレビアニメの演出、と仕事は移り変わっていく。
七馬は、後輩の面倒を見ることにも熱心でマンガ家の集まりを作っては、様々な会合を持っている。
そして、社会とマンガのつながり方もかなり考えていたようで、漫画家として様々なイベントにも参加して、即興でマンガを描いたり、似顔絵を描いたりして、マンガの普及にもつとめている。
手塚治だけが、革命児のようにもてはやされているけど、いろんなマンガ家がいて、様々な苦労や試行錯誤、実験なんかをして、その積み重ねが後の世代に受け継がれていったんだと痛感。
初期のマンガもなかなか力強くて興味深い。
ただ、手法としては現代の迫力あるマンガには叶わないが・・。
かなりたくさんのマンガ家がでてきて、ちょっと息がつまりそうになる。
たくさんのマンガに関する知識がつまっていて、貴重な資料でもあると思った。
一人の人生を振り返ることは、ホントに充実した時間を過ごしてと満足になってしまう。
読み終えて、ちょっと、七馬の人生に思いを馳せて、心地いいつかれを感じて本を閉じました。
戦後のマンガの発展の様子がわかる一冊です。
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