投稿日:2007-07-14 Sat
2007年版、“このミス”日本作品第三位の本です。この著者の本は初体験。
今年の“このミス”。
一位は期待はずれだっただけに、どんな具合か、ちょっと緊張しつつ読みました。
道尾秀介著
「シャドウ」
の感想です。
![]() | シャドウ 道尾 秀介 (2006/09/30) 東京創元社 この商品の詳細を見る |
結論からいうと・・・、つまらなかった。
はじめから、何か謎めいた感じが漂っていて、その怪しさやおかしな出来事の謎が次第に明らかになっていくんだけど。
なんていったらいいのかわからないが、読後の満足感がほとんど味わえなかった。
ストーリーはこんな感じ。
母を癌で亡くし、父の洋一郎と親子二人の生活をはじめる小学生の我茂凰介。
その凰介のまわりで不可解なことが頻発する。
母の死から間もなく、両親同士が大学の同窓生で、親しく付き合っていた同級生の水城亜紀の母、恵が飛び降り自殺をする。
直後に、交通事故にあう亜紀。
そして、母の死以来、凰介に不思議な映像が浮かんでくるようになる。
水城家の家族の関係が明らかになっていき、その後、数々の謎が明らかになり、意外な真実が判明する。
洋一郎も亜紀の父の徹も相模医科大学に勤めており、二人とも精神医学を同じ大学で学んでいた同窓生。
だから、精神病とか、心理、医薬というような医学的なことが結構語られている。
ミステリーなんで、腰が引けた感じにしかかけないんだよね。
結末がわかっちゃうから。
うまくできていると思います。
でもなんというか、小説の魅力はほとんど感じなかった。
人物の描写もちょっとあまい印象。
母を亡くした凰介が、父を気遣い、気丈に過ごして家事をやるってのがちょっと無理があるかなって思いました。
重要なストーリーに関わることで、このとらえどころのない人物造形が弱いことにつながったのかもしれないが・・・。
前半に、ばら撒かれる謎の数々。
なくなった水色のハチマキ、寝ている間に地震がなかったかという父の発言、不思議な映像・・・。
それらがラスト、一気に解明される。
それが、なんと言うかキッチリとしすぎていてなんか陳腐。
この短期間に、二つの家族が抱えていた問題が一気にあふれだして、一気に解決。
そして、最後には大団円って終わり方。
ラストで謎の核心を明らかにするのは、使い古された手法の、不自然な長い手紙。
親切にも、あらゆることをこの手紙が語ってくれちゃいます。
うまくできているとは思うんだけど、なんども言って申し訳ないが、小説の魅力をまったく感じなかった。
惹きつけられる文章もなかった。
正直、三位なのは過大評価っぽい。
だって、東野圭吾の「赤い指」がこれより下の9位だよ。
向こうは、しっかり家族や現代社会の抱える問題を描いていたと思うし・・・・。
ただ、伝統的な本格ミステリーに、精神医学をうまく絡めてまとめたのは素晴らしいと思う。
この手の本格ミステリーが好きな人には、たまらないんだろうけど。
そうでない人には、読まなくてもいいかなって感じ。
本格ミステリーを堪能できる一冊です。
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