投稿日:2007-05-25 Fri
著者の本は、確か二冊目。何を読んだかあまり覚えていないんですが、確か「袋小路の男」だっとと思います。
次々と文学賞を受賞していて、通にはかなり受けがいい作家です。
ちょっと曲者で、簡単には入り込めないというイメージがありますが・・・。
絲山 秋子著
「エスケイプ/アブセント」
の感想です。
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学生時代からずっと左翼の学生運動をしてきた男。
仕事という仕事を生まれてこの方、経験したことはないが、妹がやっている託児所の手伝いをするために東京から大阪に向かう旅の途中、出会う人々と頭に浮かぶ自らの人生。
20年も世間から遠ざかって生きていただけあって、かなりずれてるよこの人。
大阪にまで、新幹線じゃなく在来線を選んで、おまけに思いつくまま、京都で降りちゃうし・・・。
語りが男っぽいきっぱりした口調なのに、どうも男色家らしく、飲み屋で知り合った酒屋の息子と「ハッテン」しちゃうし・・。
後で、わかるんだけど、いきなり自問自答みたいなところもあって、なんか独特の空気に包まれちゃいます。
さすが、長年、自らの理想のために体制と戦ってきただけあります。
読んでいて、イメージしたのは町田康さんの作品。
どうでもいいことをああでもないこうでもないと考える感じ。
それを連想しました。
世の中からずれてしまった男。
あるいは、世の中がずれてしまったのか。
とり残された者の孤独感、集団から外れてしまった疎外感。
それが、しみったれた感じがなくあっさりと感じられました。
でも、孤独であろうと疎外されていようと、あきらめもせず、居直りもせず、もがきもせず、普通にいようとする男の覚悟もあるように思った。
かっこよくないよ、まったくかっこよくないし、無様でなさけない40男だよ。
でも、こういう自由奔放の人がいてもいいよ。
読んでいてもまったくいやみがなかった。ところどころ、笑いもあるし。
もうひとつの「アブセント」のほうは、このエスケイプの文字通りの兄弟作。
二つの作品で、響きあっている。
若い時代から、人生のまとめの時代へと向かう中途半端な年代。
人生をかたるには若すぎて、死を考えるには早すぎる。
ある程度の経験と知識がある人たちが人生を振り返る。
どう考えようと、何をしようとしまいと、「人生はまだ、たっぷりと残っている」のだ。
独特の40男の胸のうちが味わえる一冊です。
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