投稿日:2007-05-15 Tue
大ヒット映画「硫黄島からの手紙」感動したなぁ。
この映画が話題となり、公開されるまえからぜひ読みたいと思っていた本です。
やっと読みました。
あの感動がまたあらたな形としてよみがえりました。
梯久美子著
「散るぞ悲しき
硫黄島総指揮官・栗林忠道」
の感想です。
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この本は、「硫黄島からの手紙」が制作される前に出版されていて、映画公開はまったく念頭に入れられていないと思われる。
逆に、映画がこの本を結構参考にしたんじゃないかな。
所々に映画の場面を思い起こさせる記述があるから・・・。
アメリカがその手腕と戦術に舌を巻いて驚いたという、名指揮官。
栗林忠道に焦点をあてて硫黄島の決戦を描いている。
なぜ今栗林忠道なのか。
やはり、リーダーとして何よりも優秀だということ。
アメリカの上陸が予想されていた硫黄島。
日本軍の常識的な戦術は水際でアメリカ軍を迎え撃ち、上陸を阻むというもの。
しかし、アメリカは上陸部隊を後方から支援して、大規模な攻撃をすることが考えられるとして、栗林はいったん上陸を許して、その後、ゲリラ的に攻撃して相手を撹乱する戦法を選ぶ。
多くの部下が反対したこの戦術は、数日で硫黄島を攻略できるとしていたアメリカ側の目論見を大きく崩し、一月以上も米軍を苦しめることとになる。
また、階級の弊害を廃するように食事や待遇などは一般の兵士と将校に差をつけないように支持をしている。
映画でもあったが、着任して作戦を立てる前に、栗林は島をくまなく歩き、兵士達に気軽に声をかけて労をねぎらっている。
生き残った日本兵のほとんどが、栗林の顔を知っているといっていたそうだ。それは総指揮官の顔を知っている部隊というのはものすごく異例なことだそうだ。
日本人には珍しいこの合理的な考えは、栗林がアメリカに留学していた経験が大きく関係している。
アメリカの進んだ技術や文明を目の当たりにして、栗林は強い衝撃を受けたのではないか。
日本では考えられないほど、進歩しているアメリカの社会を知っていた栗林は敗戦を覚悟していたのだろう。
指揮官としての優秀さとともに描かれるのは、家族へ当てた何とも生活感の漂う手紙の内容。
そこには、勇ましい軍人の姿はなく、家族の生活を心配する父と夫の姿がある。
すき間風が吹き込む勝手口の修理を気にするもの、島の状況を知らせるもの、戦争の行く末を妻に知らせ、疎開するように進言しているもの、
娘、息子にあてた励ましのもの、自らの死を覚悟して、身の回りの品を整理するように妻に指示するもの・・・。
日を追うごとに、米軍の空襲が激しくなる中、家族を気遣い、支持を書き送る栗林の姿に感動せずにはいられない。
本土空襲を少しでも遅らせるために、栗林は部下達に無謀な玉砕や突撃を禁止して、最後の最後まで徹底抗戦を命じる。
日本兵達は、栗林の命令どおりに最後の最後まで米軍を苦しめる。
島中に張り巡らされた壕。
米軍の攻撃で壕に閉じ込められ、硫黄ガスが充満して窒息する者、餓死する者。
火炎放射器で焼死する者。
硫黄島の戦いは、日米両軍に甚大な被害を与える。
日本軍は、約2万人が戦死、米軍は6800人の死者、21000人の戦傷者を出した。
栗林の尽力も空しく、その後、日本は、本土空襲を散々受けた後、原爆を2発も落されて敗戦する。
栗林の功績は多くの人の心を打ち、その墓には今でも訪れる人が絶えないそうだ。
改めて、勇敢に戦った多くの日本人たちの犠牲の上に成り立っている現代の日本という国を考えてしまった。
ただただ、志半ばで散っていった多くの兵士たちに感謝し、慰霊をしたい。
近いうちに、靖国に参拝しに行こうと思った。
最後に栗林の辞世の句を・・・。
国の為重きつとめを果たし得で、
矢弾尽き果て散るぞ悲しき
栗林中将の偉大さを実感し、硫黄島の戦いの壮絶さに心が痛む一冊です。
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