投稿日:2007-04-08 Sun
独特の文章。現実的でありながら、なんとなく、現実とは違う世界にいる登場人物達。
著者の本は、なぜか、好きなんです、「センセイの鞄」を読んでから。
著者の本は、「センセイの鞄」「ニシノユキヒコの恋と冒険」「古道具 中野商店」「夜の公園」に続いて、5冊目です。
というわけで、川上弘美著
「真鶴」
の感想です。
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著者の小説は本当に独特。
ぶっきら棒で、味気ない描写。それでいて、印象的。
登場人物も、つかみどころがない感じ。
激しい人や熱い人は、まず出てこない。
汗や体臭も感じさせない。それだけに、存在感を感じない。
セックス描写もほかの作家のように、ぐっとくるようには書かずにあっさり、さらっと描くんだ。
だけど、その透明感というか軽量感みたいなものがたまらなく魅力的なんですよ。
男なのに、なぜか、この作家にハマッてます。
母と娘と3人で暮らしている物書きの京。
12年前、突然、夫が失踪している。
現在は青茲という編集者と不倫関係にある。
何かに引き寄せられるように、京は真鶴に失踪した夫の足跡を見つけに、何度も出かけていく。
この世のものではないものと会話をしたり、ありそうもない幻想をみたり・・・・。
「21:00」というなぞのメモを日記にのこしていた夫。
時が経って、娘が成長しても夫の礼の記憶に苦しむ京。
自分ではない、ほかの女といた礼の姿。
確かに見たあの記憶は、幻想だったのか。
事件なのか、事故なのか、駆け落ちなのか。
答えの見つからない疑問だけに、京は悩む。
自分に何か、夫を失踪させるような理由があるのか・・・。
いつもの川上節って感じで、古風な言い回しや言葉が随所に織り込まれている。
それから、この著者の魅力のひとつ、日常の、庶民的な食べ物の描写も出てくる。
鯵のたたき定食
イカの塩辛
ワンタン麺
雑煮
杏仁豆腐・・・
夫の失踪に意外と傷ついていた京。
人生のコマを次に進むために、一段上がるために、真鶴での時間は欠かせないステップだったのか。
あるいは、もう既に直りかけている傷にたいする、京の名残惜しさからの行動だったのか。
深く傷ついたとき、必要以上に落ち込むのもいけないが、無理して立ち直るのも考え物なのだろう。
しっかり、時間をかけて自分の心を再生させる。
・・・肝に銘じておきます。
とりあえずは、真鶴に行ってみたくなりましたよ、やっぱり。
なんか変なものが付いてこないことを祈りながら・・。
川上弘美ワールドにどっぷりと浸かれる一冊です。
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