投稿日:2007-04-02 Mon
「海外文学は翻訳者で読め」・・・とは、ある書評家が言った言葉。
翻訳者は出版社に依頼されて作品を翻訳するが、それ以外に自分が海外で発掘した作家を翻訳したいと出版社に申し出ることも結構あるらしい。
つまり、小説の目利きでもあるわけ。
その目利きでもある翻訳家の第一人者、柴田元幸さんがこの本の翻訳者です。
さて、面白いかどうか。
レアード・ハント著
「インディアナ、インディアナ」
の感想です。
![]() | インディアナ、インディアナ レアード・ハント (2006/05/03) 朝日新聞社 この商品の詳細を見る |
小説の自由。
物語を、人生を、ある人を・・・。
それを描くのが小説。
この本は、ストーリーを追っかけて行く様な、ページを繰る手が止まらなくなるような本ではない。
なぜなら、当初、読者はこれがどういう人間の話なのか、ほとんど知らされずに小説の世界へと迷い込む。
記述もすごく短く、時間も行ったり、来たり。
所々にオパールという人物の手紙が織り込まれている。
なんともつかみどころがない。会話ともつかないような会話。
それが続く。
しかし、読み進むうちに少しずつ、この本の主人公の輪郭がはっきりしてくる。
そして、読み終わるころには、一人の人間の人生をともに生きた感覚が残る。(ちょっと、いい過ぎ)
農場で暮らしているノア。
彼が、自分の人生を回想する。それが本の内容なのだが、そう簡単に一筋縄ではいかない。
ノア
オパール
ヴァージル
ルービー
マックス
その関係がよく分からないのだ。
読むうちに分かりますが・・・。
そして、夢とも現実とも判断つかないような話。
超能力のような力で、保安官の手伝いをしたこと。
郵便配達をして、手紙を配達先の家の石の下においたこと。
父や母の思い出。
そして、オパールとの出来事。
断片的な記述は、まさに、脳の中にある整理されていない記憶をそのままぶちまけたようなものだ。
いい本は、読んでいるうちに自分の心の中にある同じような体験や思いをいつの間にか呼び出し、本とは関係なく思索に耽ってしまうんだ。
だから、なかなか先に進まない。
この本も、そんな本だった。
いつのまにか、自分の心の中をじっと見つめているのだ。
静かでありながら激しく、そして物悲しい。
遠くまで見渡せるほどの農場の家。
寒い早朝に窓から眺める、朝日に包まれ湯気がのぼっていく大地。
なんとなくそんなイメージが頭にこびりついた。
変な人は、自分が変な人だって気づいているのかな。
変な人から見れば、普通の人のほうが変に見えるんだろう。
いや、そもそも「変」ってどういうことを基準にしているのか。
いろいろ考えさせられました。
過ぎ去った人生に思いを馳せてしまう一冊です。
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