投稿日:2007-03-20 Tue
芥川賞受賞作。著者は、作家の角田光代のダンナでもある。
夫婦で、直木賞・芥川賞の受賞ははじめてらしいです。
今日は、伊藤たかみ著
「八月の路上に捨てる」
の感想です。
![]() | 八月の路上に捨てる 伊藤 たかみ (2006/08/26) 文藝春秋 この商品の詳細を見る |
著者の略歴を見ると、意外と作家としてキャリアが長いと思った。
95年に大学在学中に、デビューし、文藝賞を受賞している。
それから、いろんな児童向けの本を書き、賞をもらったりしている。
芥川賞も今回が3回目の候補で受賞。
まあ、それだけ実力がある作家って事かな。
表題作のほかに、短編の「貝からみる風景」も収録。
どっちかっていうとこっちの方が、俺としてはすきだったな。
書評なんかを書いている男が、日課としているのが行き着けのスーパーの「お客様の声」のコーナー。
毎日、客から店への様々な苦情やら要望なんかが手書きで書かれている。そして、店側からの回答を書き加ええはりだしてある。
いろんな人間がいるなぁ、と主人公の淳一はいい気分転換になっている様子。
そのうち、ひとつだけ気になる投書があり、「風太郎スナック」なるものをどうして販売しなくなったのかという怒りのもの。
店側の回答は、そのような商品はとりあつかってないと書かれている。
それでも、次の日には、確かにこの店で買ったと投書が書かれている。
子供が泣いて困っているとまで書いてたりして・・・。
夫婦で、その投書をした人物を妄想し合うんだ。
スーパーの投書はないけど、神社でぶら下がっている絵馬を見ることはある。あれって、結構楽しいよ。
○○大学に合格できますように・・・とか、母の病気が早く良くなりますように・・・だとか、なかには宝くじが当たりますように・・なんてのもあって世の中いろんな願いがあるもんだと、感心したのを思い出す。
しかも、絵馬はやっぱり手書きっていうのが、また、一層味わい深くしている。だって、その字の書き方、大きさ、使っている筆記具の種類なんかでその人物を何となくイメージしてるから・・・・。
表題作も悪くはないよ。
自動販売機に飲み物を補充するしごとをしている、フリーターの敦。
職場を異動することになった先輩社員の水城さんとの最後の同行の日。
その先輩に求められて、離婚までの経緯を語る。
その日の二人の働きっぷりを織り交ぜながら、結婚して、やがて、心がずれて互いにその存在がうざったくなって行く過程が丁寧に書かれている。
女房が卑屈になり、すこし精神を病んできて、とても自分では支えきれなくなり、たまたま出会った美容師の女と不倫する。
そして、敦は離婚を申しでる。
それとは、対照的に、今日でこの仕事が最後の先輩は、再婚を決意していた。
それぞれ年代や性別や立場はちがうが、みずからの人生において大切な決断をしたもの同士が、正直に語りあう。
異性について、結婚について、離婚について。
真面目すぎず、ふざけすぎず、ごくありふれた感じが良かった。
特に違和感なく読めました。
これって結構重要だと思うんだよな。
読みながら何となく、すわりのわるい表現があったりするともうその先に進む気力がなくなってくるから・・。
分量も少ないし、休日とか、ちょっと長い移動のときに読むには最適。
離婚の大変さを実感する一冊です。
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