投稿日:2007-03-17 Sat
久しぶりの宮部みゆき。「誰か」以来のめぐり合わせ。
これは、おそらく「誰か」の続編でしょうね。
この、逆玉の輿の設定は読んだ記憶がある。うん、たしか。
ということで、宮部みゆき著
「名もなき毒」
の感想です。
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読後の最初の感想は、「長い!」ってこと。
とにかく長い。
新聞連載だからなのか、話がほんとにゆっくりと進む。
まぁ、じっくりといろんなことを書き込んで、宮部ワールドが好きな人にはこたえられないだろうけど。
大概、俺も宮部ファンだと思ってたけど、ちょっとこの長さ、長さを感じさせる内容には、疲れましたよ。
大企業体の今多コンツェルンの総帥、今多嘉親。
主人公の杉村二郎はこの嘉親と愛人の娘、菜穂子と結婚。
出版社をやめて、現在は今多グループの広報誌編集部に勤務している。
逆玉ってやつだね。
この、うらやましい杉村二郎が、事件や問題を解決するって話。
決して、頭脳明晰でスパスパ難問を解決するっていうような爽快さはなく、普通に生活して考えて、ちょっと二郎が動くと真相がわかるってかんじ。
全体的に、優しい。優しいよ。
まぁ、いい意味で宮部ワールド炸裂っていう印象ですね。
この主人公がまた、いい人なのよ。
怒らないし、穏やかで、著者本人をあらわしているような人柄。
「宥める」って言葉が何度も出てくる。
いつも宥めてばっかりジャン。この男。
それだけ、いつも冷静なんだね。
そして、暇。
社内報の編集はもちろんしているんだけど、まったく関係ない相談事を引き受けたりして、どんだけ暇なんだよ。
この格差社会からは羨ましい身分だよ。
現代の世相を結構取り込んでいて、いろいろ出てきますよ。
リフォーム
いじめ
老人介護
ワーキングプア
シックハウス症候群
土壌汚染
などなど・・・。
庶民を描くのがうまい著者。
今回も、普通に暮らす庶民を描くのだが、主人公は違う。
何せ、巨大企業体の総帥の娘婿だから、杉村家は、庶民とはちょっと違って、所々にセレブ感が漂う。
例えば、
家政婦が登場したり、年末の大掃除は業者に頼んだり。
世間を騒がせる無差別殺人と、編集部をクビになった女が引き起こす問題を交互に描いて引っ張っていくのだが・・。
それでも、長いよ。
ラストは、この両方の問題が一気に解決って感じだけど、もっと短くてもよかった。
新聞連載だから仕方ないかも知れないけど・・・・。
唯一良かったのは、編集部をクビになった女のイカレっぷり。
嘘はつくわ、傲慢だわ、最悪。
不思議なのはこんな女が競争を勝ち抜いて、編集部に採用されたこと。
ちょっと矛盾しているよ。
いくらなんでも気づくでしょ。こんなにいやな女なら・・・。
宮部ファンがじっくり宮部ワールドに浸るにはうってつけ。
誰もが持つ、名もなき毒。
現代社会の生きにくさ。辛さ。理不尽さ。
そんなことを考えさせる一冊です。
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