投稿日:2007-02-17 Sat
各方面で評判のこの本。読みたくて読みたくてうずうずしていましたがとうとう読みました。
内容は・・・・、やはり、すごかったです。
こころがかきむしられるような感覚とはこういうことでしょうか。
今日は、奥野修司著
「心にナイフをしのばせて」
の感想です。
![]() | 心にナイフをしのばせて 奥野 修司 (2006/08) 文藝春秋 この商品の詳細を見る |
とりあえず読み終わって、激しい怒りがおさまりませんでした。
うううう・・・。
日本中を震撼させた、あの酒鬼薔薇事件。
少年が近所の子供の首を切り落としたというあの事件。
ご存知ないかも知れないが、実は似たような事件があったのだ。
高校生の少年が、同級生の少年の体中をメッタ刺しにした上、首を切り落したという残忍な事件。
被害者の少年は、両親と妹の4人家族。
登山に夢中の、活発な少年だったという。
加害者の少年は、被害者の少年とは中学からの同級生で、親しい関係にあった。
学園紛争が盛んな時代。当初、加害者の少年は暴漢に襲われたと先生や警察に話していたが、犯行を犯している少年は目撃されていたので、すぐに犯行は明らかになる。
動機について、加害者の少年は、日ごろから加害者少年にいじめられていて、いつかやらなければやられると思っていた、といじめにたいする復讐が原因のように警察に話している。
本は、被害者の少年が殺されたあと、その一家の人間がどういう人生を送ったかを、被害者少年の母と妹の独白という形で書かれている。
それだけに、語られるその後の人生は何とも苦しい日々だったことが良くわかる。
突然に、一方的に、身内を殺されて受けた深い傷。
その傷は、癒えることなく両親や妹の心を痛めつける。
2・3年、寝込んだまま一日を過ごす母。
兄のことに触れてはいけないという冷たい家庭の空気。
少しでも気を緩めれば、すべてが壊れてもおかしくない家庭。
40年近くたってもまだその傷は癒えることはない。
しかし、この一家の3人は、加害者への怒りを露にはしない。
そこがまた切なくなる。
特に一家の中心の父親は、ひたすら仕事に励み、痛みや苦しみを胸の裡にしまって、死ぬまで加害者への恨みつらみを口にしなかった。
マスコミ、社会、警察、学校・・。
様々なことに腹が立つのだが、なんと言ってもラストを読むとはらわたが煮えくりかえる。
加害者の少年のその後が少しだけ描かれるのだ。
ぜひ、興味を持った人はじかに読んでください。
これが、世の中の現実なのか。
人を殺した人間が・・・・。
それでいいのか・・・。
誰もがそう思うだろう。
被害者が過酷な生活を強いられたのに比べ、加害者は国の保護の下に社会復帰する。
加害者と同時に被害者にも手を差し伸べるべきじゃないのか。
被害者だから、慰謝料とか相当もらえるだろうからせめてもの救いになるだろうと勝手に思ってしまうが、この事件では慰謝料を支払うという契約をしたらしいが、2年間だけの支払いでその後は滞っていた。
結局、被害者は、心も現実の生活も自分ひとりで支えていくことになる。
社会復帰したこの加害者の元少年は成長し、現在は中年になっている。
その男の言葉に、真の更生とは一体何か、と考えてしまう。
成長し、いまは医療現場で働いている妹さんの言葉にジンとくる。
亡くなったお父さんについて語った一言だ。
「確かに父はお金は遺さなかったけれど、父はそれ以上のも
のを私に遺してくれました」
世の矛盾や不条理を実感し、怒りに震える一冊です。
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