投稿日:2006-12-03 Sun
年を重ねるごとに映画製作への情熱が加速している様に見える、クリント・イーストウッド。
監督としても、その能力はだれもが認めるところ。
そのイーストウッドの新作が公開されましたので公開初日に観て参りました。
今日は、映画
「父親たちの星条旗」
の感想です。


この作品、イーストウッドは監督に徹していて出演はしていません。
前回の「ミリオンダラー・ベイビー」で絶賛されたのはまだ、記憶にあたらしい。
(ちなみに俺は、この作品はちょっと感動できなかった。
ボクシングの対戦相手の黒人や見舞いにやってくる家族があまりにも単純に悪者として描かれていて、都合よすぎるよと思ってしまったので・・・)
そのイーストウッドが次に取り組んだのがこの、硫黄島の戦いを描いた作品であります。
予備知識なしでみたから、てっきり日本の極悪非道さを糾弾し、自国の正当性を高らかにうたいあげる作品かと思いきや・・・そうではなくどちらかというと自国を批判している映画だった。
(浅はかな自分をちょっと反省・・・)
迫力の戦闘シーンももちろんあります。
戦闘の前半は、わが日本軍が優勢にゲリラ戦を戦います。
島に壕をはりめぐらし、地中から上陸する米軍を次々とやっつけます。
まぁ、次々とアメリカの戦車がやられるシーンは観ていて拍手喝采だったな。頑張れ日本と思わず血が湧いた。
でも、武器の物量で叶うはずもなくやがて劣勢に立ちはじめるのだが。
その辺の戦闘の経過はあっさり描いていて、もっと別のドラマを描いている。
硫黄島の頂上に星条旗を立てる米兵達。
偶然撮影されたその写真の若者3人を、政府や軍は、戦費をまかなうために発行する国債の購入をすすめる広告塔にする。
3人は、全国各地を勇敢な兵士、ヒーローとして熱狂的に迎えられる。
しかし、観衆の前にでるたびに戦場で負った傷はさらに深く、疼く。
死んでいった戦友への申し訳ない気持ち。
国民の持つヒーローのイメージと、自分達の等身大の姿のズレ。
表舞台とはうらはらに、舞台裏では徐徐に彼らの心はすさんでいく。
激しい葛藤に悩む若者の姿は本当に観ていて切ない。
戦争の愚かさ、人間の弱さを思い知らされる。
人生で一段と飛躍する時期に戦争に関わってしまった若者がその後の人生をどう生きていくのか・・・。
ヒーローのその後は・・・。
いあー、単純な戦争映画ではないなぁ。
ほんと、切なくなった。
客層は珍しく、若い女の人は少なくて、オヤジが多かった。
戦時下で少年時代をすごしたであろう年代の人もいて、何人も目頭を押さえていたよ。
エンドクレジットの後、日本編の「硫黄島からの手紙」の予告があるので最後まで席をたたないで観てください。
これも、必見だと思いました。
日本人、ほんと勇敢によく戦ったよ。
そんな、魂の慰霊の意味でも絶対見ようと思った。
戦争の惨さと愚かさがわかる一作です。
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