投稿日:2006-10-31 Tue
お気に入りの作家の一人。川上弘美の長編小説の新刊がでましたので今日はその感想を。
川上弘美著
「夜の公園」
![]() | 夜の公園 川上 弘美 (2006/04/22) 中央公論新社 この商品の詳細を見る |
著者の文章は、独特。
どこかさめていて、ぶっきらぼうな印象。多用される身近な小道具。そして、珍しい言葉の登場。
また、登場する人物もやはり冷静な人ばかりな印象だ。
ノウテンキに騒ぐ人物はいない。登場人物はしっかり自分を見つめ、心がどう揺れているのか考えている。
それだけに読んでいるうちにぐっと自分の内面を覗くような感じになってしまうのだ。
それがいい。
この本は、4人の男女のそれぞれの視点から交錯する恋愛や感情を描いている。
ハッピーエンドではないのだが、一人一人の心を丹念に描いている。
主人公は、専業主婦のリリ。
そして、夫の幸夫は会社員。
リリの親友の春名は高校の先生をしており、幸夫と定期的に会っている。
リリと公園で出会ったフリーターの暁はやがてリリと逢うようになる。
ある日、リリと暁。そして幸夫と春名がそれぞれのデート中におんなじレストランで偶然出会ってしまう。
それがきっかけとしてか、何かが起こるのを4人がまっていたのか、微妙に4人の心は揺れ動いていく。
積み上げていくように4人のそれそれの心を描き、人間の生活とこころの移り変わりを見事に描いている。
著者はもと学校の先生。
だから、教師の春名の描き方はリアルに感じる。
生徒から「先生」と呼びかけられたときや職員会議中でも、まったく別のことを考えていてり、幸夫のことを考えていたり・・・。
若い生徒に対する、先生という立場より女としての感情がふっと心にわきあがってきたり・・・・。
いくつになっても誰かのことを好きになり、いくつになっても胸を痛める。
恋愛について人のこころの移り変わりをじっくりと味わえる一冊です。
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