投稿日:2006-10-22 Sun
「博士の愛した数式」で本屋大賞を受賞した著者。この本、「博士・・」で少年を描いたので今度は少女の物語を描こうと書かれた作品だとインタビューで著者本人が言っていました。
ということとで今日は、注目の作家、小川洋子の最新長編
「ミーナの行進」
の感想です。
![]() | ミーナの行進 小川 洋子 (2006/04/22) 中央公論新社 この商品の詳細を見る |
本を読み始めるときに、どんな内容か予想しながら読む。
まったく予想通りだと面白くないんだけど、ある程度予想通りで、いい意味で予想を裏切ってくれるともう大満足になる。
この本は、まさにそんな本だった。
少女時代の宝物のような日々のお話だが、その世界は本当に愛らしくていつまでもその世界に浸かっていたいと思わせる魅力にあふれている。
母が洋裁学校に行くために、一年間、芦屋のお金持ちの親戚の家に預けられることになった朋子。
その家での一年間の暖かく、優しい日々の様子を描いている。
著者のこのおとぎ話のような世界を彩る小道具や設定が素晴らしい。
病弱な従兄弟のミーナ。
ポケットにはかわいらしい絵が書かれたマッチを持っている。
学校には、家で飼っているカバに乗って登校。
光線浴という治療もどきの部屋で、光にあたったり・・・。
他の登場人物も愛らしい人ばかり。
父親は、清涼飲料水の「フレッシー」を製造販売する会社の社長。
その母、ミーナの祖母はドイツ人で日本語が少し苦手。
ミーナの母は、いろいろな本の誤植を探すことを趣味としていて、米田さんという家政婦さんは家事で忙しいが、空いた時間のほとんどを検証応募に充てている。小林さんというカバのポチ子の世話係の人も登場する。
エピソードのそれぞれがスムーズに折り重なって、一冊読むのにほとんど苦もなく読める。
まぁ、とにかくよかったですよ。
ミュンヘンオリンピックの日本バレーチームの活躍。
ミーナの初恋と流星群。
マッチの絵から広がる物語。
ほとんど家に居ない伯父さんの机に集まる壊れた物たち。
図書館司書のとっくりさんに対する淡い恋心。
ああ、ほんとかわいらしい魅力に満ち満ちているよ。
それらのエピソードを通り過ぎ、結末になる頃にはこの本の世界にいつまでも浸っていたいと泣きたくなった。
ポチ子ーーーーっ。
好きなだけ尻尾振って、俺にフンを浴びせかけてくれ。
それから、挿絵の素晴らしさも付け加えておきます。
作品の世界観をさらに豊かにするこの絵に何度も魅せられた。
おとぎ話のようなマッチの絵がなんとかわいいことか。
この郷愁と懐旧。
心穏やかに、そして、優しくなれる一冊です。
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