投稿日:2006-09-07 Thu
わしズムの最新号の巻頭に、この作者の漫画が載っていて、なんとも独特の作風に興味をもち、評判のこの本を読んでみました。ということで、今日は
こうの史代著「夕凪の街桜の国」の感想を
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著者の出身地である広島。
原爆が広島とそこに住む人々にもたらした有形無形の傷跡を描いている。
原爆の被害がやっとすこしだけ遠ざかったと思わせるような戦後の平和な広島。
会社に働き、貧しいながらも倹しく生活して、やがて恋をする年頃の女性。
しかし、多くの人々が、川で、道で、死体となって転がっていたことを思い出し、自分だけこんなに幸せになってもいいのかと自分を責める。
やがて、自らも体調を崩し、血をはき、臥せるようになる。そして体力が落ちて、気力がなくなり、死んでいく。
直後に死ぬひとばかりではなく、じわじわと、放射能の影響で数年後や数十年後に死ぬ人々。
原子爆弾の恐ろしさを実感させる。
ラストの、登場人物が死を覚悟した言葉が胸に突き刺さる。
「十年経ったけど
原爆を落とした人はわたしを見て
『やった!またひとり殺せた』
とちゃんと思うてくれとる?」
目に見えない放射能は、ゆっくりと人々の体を蝕むのだ。
恋をしていようと・・。
これからの人生に希望を見出していようと・・・。
容赦なく。
こんな理不尽なことに、この本の登場人物たちは、声をあげて叫んだり、喚いたりしない。
静かにそれを受け止め、自分の中で消化して乗り越えようとする。
その姿に、また感動するのだ。
それは、本来もつ日本人らしさだと思ってしまう。
ゆっくりと悲しみを受け入れる。当時の多くのの日本人はやはりそうしたのではないだろうか。
とてつもない大きな悲しみの上に今の日本が成り立っているのだ。
それを考えると、決して必要なかった原爆投下をした、アメリカにむしょうに腹が立つ。
腹の底から憎しみが湧き出してくる。
この憎しみは、原爆を落とされた国の人間として、当然、礼儀としてわきまえるべき感情だと思うんだ。
多くの犠牲の上に成り立っているこの国の平和に改めて感謝したい。
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