投稿日:2012-01-18 Wed
「この女」森絵都 著
「カラフル」以来、著者のファンなので、
無条件に新刊は読んでいます。
ということで「この女」も読んでみました。
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日雇い労働者の町として有名な大阪・西成区。
そこで働く若者・甲坂礼司が、知り合った大学生の紹介で、
ある仕事を引き受ける。
それは有名ホテルグループの経営者・二谷啓太の依頼で、
妻・結子の人生を小説にするという内容だった。
有名企業の社長が、一体何の目的で妻のことを
小説にしてくれと依頼するのか。
結局、仕事を引き受けた礼司は、
結子のことを調べ始める。
夫婦生活は破綻している二谷と結子。
結子はホテルを住まいとして自由奔放な生活をしていた。
本の取材で結子に会い、人生を調べはじめるが、
礼司は結子の奔放さに翻弄されていき、
なかなか小説は進まなず、
やがて依頼人の二谷とも連絡が取れなくなって・・・。
かつての児童文学作家から、完全に脱皮した森絵都さん。
「カラフル」は何度でも読み返したい名著。
「永遠の出口」もすばらしかった。
直木賞も受賞して、小説家としては上り詰めた感がありました。
新作が注目されている中でのこの本の刊行。
次はどんな作品が出てくるのかと楽しみでした。
読んだ感想は、かなり期待はずれでした。
これはかなりの失敗作ではないかと感じるほど。
謎めいた出だしで、すんなり物語に入り込めるのですが、
政治的な陰謀とか不遇な幼少体験とか、
その後の物語はいろんな方向に飛びまわります。
ビジョンが大きすぎて小説全体がまとまっていない感じ。
肝心な、「この女」の結子も、
物語が進むにつれて魅力を失っていくように感じました。
この本は、いままでの森絵都作品とはかなり雰囲気が違います。
おもしろくないと感じたのは、
こちらが期待していたような小説ではなかった
というだけかもしれませんが、
後半の展開は目新しいところはなく、
読みどころもあまりなかったように思います。
著者のファンだけにかなり厳しい感想なのかもしれません。
ネットの書評はかなり好評な人が多いので。
どこかしら輝きがあるところがあればいいのですが、
それすらあまり見つからなかったです。
森絵都さんを始めて読む人は、
この本ではなく別の本から始めることをオススメします。
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投稿日:2011-08-22 Mon
「伏 −贋作 里見八犬伝ー」桜庭 一樹 著
「私の男」以来の著者の本。
舞台が江戸で、伏と呼ばれる犬人間の怪物の数奇な運命の物語。
著者にとっては、初めての時代劇なのかも。
伏の知識を少しだけ仕入れて、読み始めました。
![]() | 伏 贋作・里見八犬伝 (2010/11/26) 桜庭 一樹 商品詳細を見る |
江戸で伏に惨殺される人が続出し、
伏退治に報奨金を出すとお触れがでる。
市井の町人にまぎれている伏を退治しようとする狩人が多く出てくる。
その狩人の中に、江戸で暮らしている兄を頼って、猟師の浜路が田舎からでてくる。
女にしては考えられないくらいの身体能力と持ち前の感の良さで、
次々と伏を見つけて、追いつめて、退治する。
その様子が、次の瓦版に克明に載っている。
浜路の後をつけていた、曲亭馬琴の息子、冥土が書いていたものだった。
伏が誕生するにいたったエピソードとか、
伏の仲間たちのこれまでどうやって生き延びてきたのか
といった感じで、構成を考えている。
半分人間で、半分犬の伏
伏に同情しながらも、人間に害を加えるなら捕らえるしかない。
追うものと追われるものの人情の交わり。
逃亡と追跡による息もつかせぬ展開。
現代はありえないであろう、自然的が現象。
それらがめくるめく展開で楽しませてくれるのかなぁ。・・・っと
勝手に想像していたが、
それほどではなかったかな。
めし屋のおかみの人柄とか、兄妹のやりとりとか、
コメディーのドラマをみているよう。
大分気楽に楽しめる読み物っていう感じ。
めくるめくような展開を期待していただけに、
ちょっと求めていたものが違うので面白くなかった。
伏の数奇な運命もなにか中途半端。
伏というもの自体もいったいどういうものなのかも
あまりイメージできなかった。
「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」「のぼうの城」なんかに影響をうけて
著者も時代劇を書いてみようとおもったのか。
単純な冒険物語とかチャンバラのアクションを期待していると
ちょっと肩透かしを食らう感じ・・・。
後半になるにつて、長さを感じ、物語をただただ消化するという感じだった。
出だしは結構興奮していただけに、残念な内容だった。
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投稿日:2011-07-26 Tue
「クルマニホン人」 松本英雄 著
自動車テクノロジーライターの著者が、
日本車の魅力や日本の技術力の高さ
そして、欧州者と比較しての日本車の足りないところなどを
綴った一冊。
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冒頭の「日本車の危機」で、
日本車の至らないところやまだまだ欧州車に追いつけないモノつくりの部分など
日本車への批判が書かれているが、
それ以降はほぼ、日本車のコレまでの発展と、
日本車メーカー各社の開発して技術やクルマを具体的に取り上げて、
賞賛している。
モールディングが苦手でボンネットの裏のつくりが粗雑。
鋼性感を演出するのが下手。
日本車の悪いところをまとめるとこんな感じ。
細部がどうしても欧州車には叶わないようだ。
著者の具体的に取り上げる車種やエピソードを
自分の意見や自分の自動車の歴史と重ねながら読んだ。
日産の新型マーチのデザインは最悪(なぜこのデザインになったかは本書を読んでください)
とか、ユーノスロードスターの登場が世界に与えたインパクト、
スズキワゴンRの新しい軽のパッケージなど、
納得できる意見は楽しく読めた。
ただ、この辺のエピソードはどこかで聞いたことがあるようなものばかり。
(NSX・ユーノス800・スカイラインGT−R・スバル・・・)
新しい情報やクルマに対する考えが皆無とは言わないが、
もう少しいろんなクルマを取り上げてほしかったかな。
メーカー別に会社の特徴や、名車の解説なんかをしてもよかったと思う。
手軽に読める読み物ではあるのだが、
小一時間で読める分量・書かれている内容が当たり障りのない感じ。
本を読むのが楽しみの者にして見れば、
かなりもの足りなかった。
徳大事氏の寄稿文でも著者を愛すべき人間として捕らえている。
この本は、クルマ語る著者の姿や業績みたいなものが
文章のあちこちでちょっとにじみ出ているのが嫌な感じがした。
手軽に読める自動車の本ではあるのだが、
少ない分量や軽い内容など
すべてにおいてバランスの悪い本という印象が強く残った。

クルマニホン人: 日本車の明るい進化論
- 松本英雄
- 二玄社
- 1050円
書評

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投稿日:2011-05-10 Tue
スマイリーキクチ 著「突然、僕は殺人犯にされた」
お笑い芸人のスマイリーキクチさん。
最近、テレビで姿を見ないと思っていたら、
こんなにひどい体験をされていたんですね。
今話題のこの本。
タイトルにある、事の経緯を知りたくて、
むさぼるように読みました。
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スマイリーキクチさんといえば、
「ボキャブラ天国」やヨン様のものマネで活躍していた芸人。
そんな彼が、ある日突然、
足立区の少年たちが引き起こした卑劣な犯罪の犯人だと
ネット上に実名で書き込まれる。
まったく身に覚えのない彼は、
自分が犯人ではないので、
いい加減なデマはそのうちやむだろうと放置する。
いったん下火になったように思えたこのデマは、
とある本が原因で再び、
ネット上に氾濫することになる。
その本には、名前こそ載っていないものの、
スマイリーキクチさんが犯人であるかのような記述があった。
とにかく本当にスマイリーキクチさん、気の毒、
としかいいようがない。
まったく無関係なことで、
10年間の芸人生活を暗くすごさなければならなかったのだ。
本にも書いているが、
いくら無関係と本人が否定しても、
仕事先はイメージが悪かったり、
疑惑がある芸人には仕事を依頼しない。
問題のとある本とは、ウィキペディアによると、
以下の本らしい。
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ウィキペディア「スマイリーキクチ」>>>
この本の著者、一時期、コメンテーターとして
テレビに出まくっていたのに、
最近ほとんど見なくなったと思ったら、
こんなやましいことがあったのか。
元警視庁の刑事という経歴も
自称ということらしい。
*スマイリーさんは本の中では、
書名や著者名は書いていないです・・・。
ネット上に書き込んだ輩と
本を書いた人物に重大な責任があると思う。
そして、相当の罰も必要だと思う。
どれだけもがいても、どれだけあがいても、
最後は厳しい現実を突きつけられる。
そして、人生は人との出会いで結構変わるもんだと
改めて実感させられる。良くも悪くも・・・。
くわしくはぜひ本を読んでください。
せめて、スマイリーさんがこれを機に、
大きく活躍できればと願うしかない。
自力でこの誹謗中傷を終わらせようと
孤軍奮闘する(ともに闘ってくれる彼女がいるが)スマイリーさんの
姿には本当に感動してしまう。
もし自分が同じ立場だったらと想像すると
とても同じようには耐えられないと思う。
メディアリテラシー・・・とは少し前に流行った言葉。
でもこの頃にはそんな言葉はなかった。
ネットに書かれていることは、
事実なんだと信じて疑わなかった人が多かったと思う。
ネットのすばらしさばかりが強調されていて、
実際はこのあと、いじめや殺人など負の部分も見え始める。
この本は単なる体験気や顛末ではない。
お笑い芸人に身をもっと現代のネット社会の危うさを警告している。
誰もが加害者になり、
誰もが被害所になるうる時代だということを。
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投稿日:2011-03-29 Tue
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』加藤 陽子 著
昨年評判になっていた本です。
いろんな媒体で紹介せれていたので読んでみました。
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東京大学の教授の著者が、中高生に日本の近現代史を講義したものをまとめたもの。
中高生に講義・・・というのでもっとお手軽な読み物かた思いましたが、
結構本格的な内容の本でした。
講義を受けているのが、言って見れば歴史オタクの中高生なので生徒もレベルが高い。
日清戦争・日露戦争・日中戦争・大東亜戦争。
タイトルのとおり、近現代史のなかの戦争を中心に、
当時の政治家や日本軍の責任者の意思決定がどのように行われたか。
意思決定の際に何がそれに与えたかなどを解説して、
当時の日本の首脳の心の裡をえさせる。
日本の首脳陣の中での葛藤や軋轢。
また西洋諸外国からの並々ならぬプレッシャーと戦いながら、
何とか日本を生きながらえさせようとういう責任者たちの
体温や息遣いを感じずにはいられなかった。
読めば読むほど、当時の日本人を誇りにおもってしまう。
しかしながら著者は、当時の日本人を心の底から
嫌悪しているように感じられた。
当時の日本のやり方を何から何まで肯定しようとは思わないが、
戦争はやっぱり相手との交渉の結果始まるわけだから・・・。
たしかに強引な手法もあったと思うが、
それをいくら悪く言ったって何かが変わるわけではないし。
いろいろな新たな事実がわかったのでそれはすごく興味深かった。
特に印象に残っているのは、真珠湾攻撃の事実。
なぜ、アメリカ軍があれだけ甚大な被害を出した攻撃を防げなかったのか。
それが、真珠湾の浅さとそれを克服するべく日本軍が行った特殊な訓練、
そして西洋人の人種差別と偏見があったというのは、
読んでいてわくわくした。
日本軍が意外と合理的な戦術をとっていたんだと感激。
本格的な歴史の内容なので手軽に読める本ではないですが、
その主張になっとくできるかは別として、
読み応えのある一冊です。
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